8月9日のNHKスペシャルで、「知られざる核危機 ハルペリン文書の警告」が放送された。録画を逃してしまったので、再放送を録画して見た。見た人もいると思うが、おさらいのため。中華人民共和国と中華民国を巡る金門島を巡る44日間の抗争の過程で、米軍が核兵器の使用を想定した軍事計画を立てていたという話である。
いわゆる核の危機とは、1962年のキューバ危機と認識されているが、それよりも4年も前に、核が使用される寸前まで計画されていたというのだ。この構想は、中国共産党が、突如金門島に砲撃を加えたところから始まる。ペンタゴンの参謀本部ではどのようにこの抗争に対処するかという作戦会議が開かれ、通常兵器での対処は、「戦争を長引かせる」という判断から、中国本土の軍事空港に対して核攻撃を行うという判断がなされた。
当時の中国は核爆弾を保有していなかったが、中国の後ろ盾となっているソ連は、アメリカの核使用に黙っていないだろうとシミュレーションされていた。その際、まだ米軍支配下にあった沖縄が標的とされるだろうと想定されていた。実際、核爆弾も用意され、発射訓練もされていたという。
当時のアメリカの参謀本部はなぜこのような計画を立案したのだろうか。それは、アメリカにとって、ヒロシマ・ナガサキへの核投下は、戦争の終結を早めたと間違った「成功事例」と受け止められていたからだ。だから、現在よりも核使用に関するハードルが低かったといえる。
アイゼンハワー大統領も出席した作戦会議において、大統領は核の使用を選択しなかった。なぜか。当時全世界で反核・反核実験の運動が巻き起こっていたからだ。このような状況で、核を使用すれば、アメリカは全世界から信頼をなくし、ひいては国益を損ねるという判断が大統領にあった。
この特別番組を見て、改めて反核運動の大切さを思い知った。一人一人の反核の声が世界の危機を寸前で救い、いまだヒロシマ・ナガサキ以降核兵器は使用されていないのだから。私がまだ学生の頃、ヒロシマに何回も訪れた。当時は、まだアメリカ国民の中にも核を使用したことを是とする声のほうが多かった。しかし、被団協を中心とした被爆の実相を訴える活動が徐々に広がり、今ではアメリカ国民の中にも核使用について非とする意見が増加しているという。
改めて、反核・平和運動の重要性を痛感した番組だった。ただ、NHKにしては珍しく、変なアニメが所々に使われているのは、興ざめした。もっとドキュメンタリーらしく演出してほしかったと思う。

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