8月25日の読売新聞の27面に「小学校に『専科免許』」「多様な教員確保へ」という見出しで、記事が掲載された。特定の教科のみを指導できる「専科免許」を新設する検討に入ったという。
小学校の教員免許は、中高の免許とは違って、全教科を教える前提の免許制度になっている。教員養成を目的とする大学学部で、全教科の指導法を学ぶ必要があるのだ。私は50年近く前に大阪教育大学に入学したが、私が入学した課程は、特別課程数学科で高校の免許を取得できる課程だった。数学科にはこのほかにも中学校課程や小学校課程があったが、小学校課程の学生は、小学校課程専科(通常、小専と言われた)を取らなければならなかった。体育の授業でも、中高課程は、50mをどんな泳法でも泳げれば良いというものだったが、小学校課程は4泳法をマスターしなければならなかった。小学校課程の方がハードなのである。
今回の「専科免許」新設の文科省のねらいは、「多様な専門性を持つ教員を増やし、教育の質向上を図る」という事らしい。中高の免許と同じように、文学部でも国語や社会の免許、理工学部も算数や理科の免許が取得できるという事だろう。確かに、小学校課程の教員よりもより専門性を学んだ学生が、小学校の教員になることが想像できる。
だが、本当にそれでよいのだろうか。中学、高校と教師に求められる専門性が増してくるが、小学校の教員には、「教育」という分野の比重が大きい。授業をするにあたっても、その教授法は、極めて重要だ。更に、不登校・いじめ・保護者対応など、学校現場は想像以上に過酷である。果たして、「専科免許」の教員がどこまで対応できるのだろうか。
大学で「専科免許」を取得する学生を育てるとしても、中高の免許に加えて教職の授業を増やす必要があるのではないか。大学の負担も大きい。文科省が考えるように、教育の質を向上させることも重要だし軽視するつもりはないが、学校現場が求めているのは、教員不足である。記事の最後にも「全国の公立小学校で約1700人の教員不足が生じている」と指摘している。「専科免許」の創設により裾野が拡大するだろうか。そんな簡単なことではないだろう。
専門性を身につけた学生が、わざわざブラックな学校に進路先を決めるとは、中々思えない。

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