動き出す高等教育政策

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 8月21日の読売新聞と朝日新聞に大学政策に関する記事が掲載されていた。政府の人材育成方針を受け、文科省が大学に対して検討していることが書かれていた。読売新聞は「11私大 理系学生増」という見出しで、朝日新聞は「留学必修の大学支援」という内容だ。いずれも今後の日本の国力を向上させていくにあたって重要な施策だ。

 文科省は昨年、政府の基金をもとに、文系学部の理系転換や文理融合教育に取り組む大規模私立大学への支援を決めた。1校あたり最大40億円の支援である。この方針に対して、早稲田・慶應・上智をはじめ青山学院・学習院・中央・法政・明治、関西では関西・関西学院・立命館の11大学が基金を活用するという。有名私立大学どころが、こぞってこの基金を活用するというからびっくりだ。

 私立大学は、国立大学に比べて文系学部生が多いと言われている。国立大学では約5割が理系学生だが、私立大学では3割弱にとどまっているのだ。経済産業省の試算によると2040年には理系人材は124万人不足するという。以前のブログにも書いたが、今後の国力を左右するのは、理系人材だと言われている。高校では、理系を選択する生徒が少なく、今後進学先を理系に誘導しようとするものだろう。

 朝日新聞は留学支援に対する支援についてだ。ただ、記事をよく読むと、支援の条件については、
〇初年度にAIや数理、データサイエンスを組み込んだ必修科目が設定されていること
〇支援が終わる5年後までに一人の教員が教える学生数を25人程度に減らす
などがあるという。ここにも理系・文理融合へのシフトが見えてくる。

 基本的に、理系人材を育成する方針には賛成だが、小中の学習を経て果たして理系を選択する生徒がどれだけ増えるかが問題だ。理科は好きでも算数・数学は嫌いという児童・生徒が、果たして高校で数学Ⅱや数学Ⅲを学習するだろうか。私が校長をしていた時には、数学教師で数Ⅲを学んでいない教師もいた。数Ⅲを大学受験に課さない大学があったのだからびっくりだ。

 確かに理系学部の進学枠が広がり、世の中が理系人材を求めるようになれば、親の意識も子どもの将来を考えて理系を進めるかもしれない。しかし、安易に理系学部の枠を増やすだけでは、質の低下をもたらすという事も有りうるだろう。STEAM教育をどのように進めるのか、小中からの根本的な見直しを考えなければ、有意な人材は育たない。


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