「高等学校の定時制教育及び通信教育振興法」の改正法が7月15日、参議院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。同法はもともと、働きながら学ぶ若者に教育の機会をつくるために制定されたが、70年以上が経った現在では働きながら通う生徒は減少し、代わりに不登校の経験があるなどさまざまな背景を持つ生徒の受け皿となっている。
今回の改正では、法律の目的を見直し、多様な生徒の特性に配慮した教育の大切さや適切な運営の確保を明記した上で、生徒が社会で自立して自分の進路を決め、豊かな人生を送る手助けとなることをめざすとされている。加えて、出席を確認せずに単位を認めるといった不適切な指導や、多様な生徒へのサポート体制が追いついていない学校が一部で問題となっており、教育の質と適切な運営を守るために、今回の法改正が行われることになった。
国や地方自治体の責任、学校設置者の責任を明確にし、不適切な単位認定などの運営を是正するのは当然の事だろう。より本質的な問題なのは、10人に1人通う通信制高校の教育のレベル、質の問題だ。私は、大阪府立高校に長年勤め、いわゆる「教育困難校」と言われる学校にも勤めた。その経験からしても、今通信制で教えている数学のレベルは、確実に下回る。レポートやテストに公式を書き写すような問題、いわゆる「穴埋め問題」などは出題した覚えはない。数学の問題のレベルはどうあれ、少なくとも「問題を解く」という作業を要求してきた。教科書の公式を書き写すようなレベルの出題を見るのは、初めてである。数学以外の教科でも教科書をみれば答えがわかるというようなレポート内容で、思考力・判断力・表現力の養成などは、かすりすらしていない。それでも、「高卒」という資格は取得できるのだから問題は大きい。
全日制、定時制、通信制に関わらず、2年生までの学習内容で高卒の資格を得るだけの能力があると認定する「高卒認定テスト」を実施してはどうかと思う。そういう資格テストを実施しないと、日本の高校生はどんどん安きに流れていくだろう。その象徴が通信制高校在籍数の急激な増加なのである。これでは、日本の若者の学力はどんどん低下していく。今でも高卒認定試験というのは実施されているわけだから、あのテストを全ての高校生に受験させて、合格点を取った生徒に高卒認定を付与すればよいと思う。そうすれば、通信制高校の生徒も、必死になって勉強するようになるだろう。
今のままではまるで中身を伴わない、実力も能力も乏しい高校生を少なからず生み出すことになってしまう。この危機感を文科省は持っているのだろうか。

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