超党派の国会議員でつくる「活字文化議員連盟」(会長・上川陽子元外相)は26日総会を開き、正式な教科書として導入されるデジタル教科書について、児童生徒への影響や課題などを踏まえた提言をまとめることを決めた。文部科学省が今秋にも策定するデジタル教科書の具体像を示す「大臣指針」に、提言の内容を反映させたい考えだという。
このような動きを歓迎したい。大臣指針に反映されることを願う。とにかくデジタル教材を教科書に格上げすることについては、このことを議論すべきだった中教審での議論が、拙速かつ「デジタル有りき」の議論で進んだことが大きな問題なのである。中教審で議論をされている資料を見ても、北欧の「紙回帰」の報告はなされてもほとんど顧みられることは無かった。なぜなら、ほとんどの委員が「デジタル教科書導入派」だったからだ。
私は、デジタル教材には反対しない。デジタル教材の方がよく理解できることがあるからだ。例えば、私の専門教科である数学などでも、空間図形の把握や関数の変化などは、デジタル教材が優位だろう。しかし、だからと言って、教科書の紙に書かれた空間図形を頭の中で立体に変換する時の頭の働きは相当なものだし、関数の変化を数式から読み解くという読解力もかなりの力が伴わなければならない。
例えば、y=1/2 sin2(x-2/3 π)という三角関数を想像できるだろうか。関数作成ソフトを使えば、すぐにビジュアルにグラフが現れる。しかし、それでは式が表す意味が理解できない。周期、振幅、x軸移動などを式から読み解くことができるのだ。デジタル教材を入り口として、式の意味する本質まで踏み込んで理解しなければ、三角関数の理解には至らない。
安易にわかった気にさせてしまい、深い学びに繋がりにくいのがデジタル教材である。それを補い、深い学びに結びつけるのが紙の教科書だ。このような議論は、教育の専門家である文科省―中教審でもっと深い議論をすべきだったのだ。中教審以外のところで、「デジタル教科書への疑問・疑義」が寄せられ、肝心かなめの中教審で議論が疎かになったという、本末転倒がこのデジタル教科書を巡る動きである。
おそらく、文科省も議論が拙速であったと認識しているのだろう。だから、デジタル教科書が決まってから、その導入にブレーキをかけるようなことが、文科省から起こるのである。大臣指針もその一つだ。この議員連盟がどのような提案をするのか、超党派であるだけに、注視していきたい。

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