9月22日付の読売新聞教育面に、文部科学省の来年度予算概算要求に関する記事が掲載されていた。経済財政諮問会議による「骨太の方針」に基づき、戦略17分野への人材育成策が盛り込まれている。高校においては文理融合による普通科改革や専門高校の機能強化、大学においては成長分野への学部転換促進などが目指されているという。大阪府の桃山学院大学も、さっそく工学部の新設を予定しているとのことだ。機を見るに敏な姿勢は評価できるものの、同校はもともと人文・社会科学系を中心とする大学であり、ゼロからの取り組みとなる。果たして思惑通りに成果を上げられるのだろうか。
ところで、現在の教育行政における最重要課題は、何よりも「教員不足」のはずである。そしてその解消のためには、教員の働き方改革の断行が不可欠である。しかし、記事には次のように記されていた。
「教員のなり手確保に向けては、働き方改革など教職の魅力を高める目標と計画を定めた自治体を支援する。語学や心理士など教員の資格取得支援、職員室のオフィス改革などを想定し、30億円を計上した。」
この記事を目にして、「これが果たして働き方改革やなり手確保につながるのか」と疑問を抱く人は多いだろう。現場の教員に対して語学や心理士などの資格取得を支援するというが、日々の業務で手一杯の現場に、果たしてどれだけの余裕があるのだろうか。さらに驚かされるのは「職員室のオフィス改革」である。環境改善自体は否定しないものの、本質的な課題解決からはあまりに遠く、弥縫策の域を出ないと言わざるを得ない。
教員に資格を取得させる余裕があるのなら、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを一人でも多く配置すべきではないか。外国人の児童生徒への対応に関しても、教員に語学を学ばせるのではなく、専門の通訳や支援人材を配置すべきだ。業務の切り分けと専門職の活用こそが教員の負担軽減=働き方改革につながり、ひいては教員不足の根本的解決に資するのである。
戦略17分野への人材育成も重要かもしれない。しかし、人材を育てる基盤である教員そのものが著しく不足しているのが現状だ。この土台を立て直さない限り、いずれ日本の学校教育は崩壊へと向かうことになるだろう。

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