東京地裁は、18歳未満の選挙運動を禁じる公職選挙法の規定が憲法違反であるとして、17~20歳の4人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、「表現の自由を保障した憲法に違反する」との判断を示した。画期的な判決である。裁判長は、「未成年者が関心や価値判断に基づき、選挙運動に参加することを禁止する根拠は見いだせない」と述べたという。
新聞の30面には、原告のひとりである兵庫県の竹島さんの経緯が詳しく報じられていた。竹島さんは17歳の時、中学時代に違和感を抱いていた校則について親身に話を聞いてくれた市長が別の選挙に立候補することを知り、自身のSNSでその政策を発信し始めた。
ところが、「危ないのではないか」と陣営関係者から連絡を受け、公職選挙法が未成年者の選挙運動を罰則付きで禁止していることを初めて知ったという。市長に迷惑がかかることを恐れ、発信を取りやめたそうだ。
選挙権年齢が18歳に引き下げられ、18歳の若者が投票権を持つようになってから約10年が経つ。当時、私は府立高校の校長を務めていたため、公職選挙法に違反しない18歳(主に高校3年生)と、違反してしまう18歳未満が混在する校内環境に対し、注意喚起を行ったことを覚えている。当時はこの規定にさほど違和感を抱かなかった。しかし、この10年で学校現場の取り組みは大きく変わり、私の認識も改めさせられた。
特に象徴的なのが、多くの学校で取り組まれている「ルールメイキング」の実践だ。学校生活を規定する校則を生徒自らが見直す取り組みである。竹島さんも中学校の校則に疑問を持ったことが原点だったという。この取り組みを探究的に深めていけば、いずれは社会の法律や制度という壁に行き着く。中高生がその課題を解決しようとすれば政治への参加は避けられないが、そこに公職選挙法という障壁が存在することを、本訴訟は世に知らしめた。これこそがルールメイキングの実践がもたらした価値ある成果ではないだろうか。
この規定は、1952年の制定以来、具体的な議論がなされてこなかったという。まさに政治の怠慢である。本来であれば、2015〜16年に選挙権年齢を引き下げた段階で着手すべきであった。今後、国側は控訴するのだろうか。できれば無用な時間を費やすことなく、国会での迅速な法改正へとつなげてほしいと願う。

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