今日は雑談ー朝ドラ「らんまん」、どうもすっきりしない


 現在、放映されている朝ドラは、「らんまん」だ。日本の植物学者・牧野富太郎をモデルとし、長田育恵作、神木隆之介の主演でフィクションのドラマオリジナル作品として制作された。先週から今週にかけて、主人公の万太郎及び妻の寿恵子さんには不幸続きだ。東京大学に出入りするなと言われ、可愛い園子ちゃんを亡くし、実家の酒屋峰屋まで倒産してしまった。人生の中で最大の悲劇の時期だろう。
 第二子が生まれ、前を向こうとする万太郎だが、彼が行おうとしたのは、自分がやりたい植物研究である。大学に出入りできないために、海外から高価な本まで買おうとする。いったいこの人の感覚はどうなっているのかと思う。普通、生活するために、家族を幸せにするために、好きな事を横において、何とかお金を稼ごうとするのではないだろうか。叶わなかったが、マキシボビッチ博士のいるロシアにまで行こうとするのである。空気を読めないというか、自分しか見えていないというか、とんでもない人物である。天真爛漫以上の阿呆としか思えない。まあ、こんな傍若無人体質の人間でないと、大業は成せないのかもしれないが、家族が可愛そうである。と思いきや、そんな阿呆な亭主を健気に寿恵子さんは支えようとするのである。一体この家の家計はどうなっているのだろうか。

 朝ドラとは、主人公が逆境にも負けず、周りの人に支えられながら、人情の有難みを身に沁み、最後は幸せになるという人生のドラマである。そこには、世情も反映している。明治維新や日清・日露戦争、そして太平洋戦争である。戦後の高度経済成長というのもあるだろう。バブルの崩壊というのもある。そういうリアリティがあるから、人々は共感し、主人公と共に泣き笑いするのである。そして、自分も頑張ろうという勇気をもらう。「おかえりモネ」も東日本大震災後を生きた若者たちのドラマであった。震災のシーンは一つも出てこなかったが、震災後を生きた人たちの思いが十分に伝わった。何回も涙した。ところがである。この「らんまん」、主人公があまりにも能天気すぎる。これでは、寿恵子さんの苦労物語である。もう少し、地に足を着けた万太郎になってもらいたい。昔は、竹男、今は寿恵子さんがいてこその万太郎である。阿呆で天真爛漫な男を友に、そして夫に持った竹男と寿恵子の物語として再構成するほうが、よっぽど朝ドラらしいと思ってしまう。言い過ぎたかな?


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