5月6日の読売新聞4面に面白い記事が掲載されていた。「小中校向け『答えを出さないAI』」である。コニカミノルタが子どもの思考力を育むために、「答えを出さずに『伴走型』のAI」を提供するというのだ。
記事には、その例として、分数のかけ算を聞くと「分母同士、分子同士をかけ算する」と答えるという。数学の教師からすると、そもそも分数とは何かというところからAIに語ってほしいと思うところだが、それでも答えを言うよりはましだろう。
私が勤める通信制高校の中学校を卒業して入学するクラスで数学を教えているが、1時間目の授業は、負の数の計算や、分数の計算から教えた。それも原理原則である。例えば、
1/3×2と 1/3×1/2
である。1/3に1/2をかけたら、1/3よりも小さくなるか、大きくなるかという質問をしてみたら、「大きくなる」と答える生徒がいた。つまり、かけ算すると何倍にもなるので「かけ算=数が大きくなる」と認識しているのだ。分数とは何かというところのイメージが十分ではない子どもに、分数のかけ算は「分母同士、分子同士をかけ算する」と教えても、機械的にその計算方法を覚えるだけで、数としての概念は養われない。もう少し、原理原則に戻って教えてくれるAIが登場しないかと思う。
もう一度言う、それでも答えを教えるよりはよっぽどましだ。子どもの頃からAIを使うと、自分で「思考する」ということが失われてしまう。昔、ある高校でアクティブラーニングの研修を行ったことがある。「知識構成型ジグソー法」である。これは、一つの知識を3つの側面から捉え、それぞれの情報から得られる見識を3つつなぎ合わせることで、見識をバージョンアップする学習方法である。この導入のために、わざわざ他県から講師を招いて研修した。他校の先生方も参加されていたが、その中の一人の先生(情報の先生)がノートPCを持ち込んで、答えを見つけるために必死で検索しているのだ。その姿を見て、「こりゃ、ダメだわ」と思った。自分で考えることをやめて、ネットの世界に答えを探しているのだ。そんなことをする研修ではないということを理解していない。
この発想は、AIに答えを求めるということと、まるで同じだ。当時はまだ、AIが普及していない時代だったが、こんな発想の人が教師になれば、子どもたちに豊かな発想力や創造力を養うことなんてできないだろうと思う。
AIを教育現場にどのように活用するか。文科省は24年にガイドラインを出しているが、現実ははるかに進んでいる。5月5日から同じく読売新聞で、「AI×恋愛」という連載が始まった。以前にテレビでAIと結婚した女性が報じられたが、今回の上にも掲載されている。人間にではなく、AIに恋愛感情を持つとなると、世も末かと思うのだが・・・これも昭和の感覚か・・・。

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