主権者教育とルールメイキング


 4月27日の日本教育新聞のネット版に、「主権者教育、実践重視に見直し 模擬選挙や模擬議会を充実」というタイトルで記事が掲載された。中央教育審議会教育課程部会の社会・地理歴史・公民ワーキンググループが24日、第7回の会合を開き、事務局が児童・生徒の社会参画意識を高めるため、主権者教育で実践的な活動を重視するよう見直す方針を示した。模擬選挙や模擬請願など、実際の政治参加を想定した学習を増やし、外部機関との連携も強化するという内容だ。

 見直しでは、模擬選挙や模擬請願などの活動を体験にとどめず、議論や合意形成まで含めた学習にすることを重視する。良い方向だと思う。選挙権年齢が18歳に引き下げられた時、模擬投票が盛んにおこなわれた。それなりに効果があったかもしれないが、私は当初からイベントでしかないと思っていた。実践していた教師たちは、いかにも主権者教育をやっている感を出していたことを覚えている。
 今回のワーキンググループでの議論は、地域課題を基に論点を設定し、生徒同士が議論した上で投開票し、結果を踏まえて振り返る過程を重視するというもので、より実際の選挙活動に近いものであろう。このような活動を通じて、生徒の主権者意識が育つことを期待したいが、私はもっと主権者意識が育つのは、ルールメイキングではないかと思っている。

 ルールメイキングは、自分たちの学校生活に直結する問題を取り上げる。例えば、制服問題である。この問題一つをとっても、私服にすればよいというような単純な問題ではない。自由服にするにしても、多くの論点が存在するのだ。このような生徒と直結する問題を取り上げることにより、学校のルールについて考え、討論し、投票することにより、民主主義の何たるかを身を持って体験するだろう。そうすることにより、工藤勇一氏の言う主体性と当事者意識が生まれる。主体性と当事者意識を育てるにはいろいろな手段があるのだ。

 このルールメイキングを経験した生徒は、自分たちが関わることによって学校が変わるという経験を積むことになる。やがて、その意識は、自分たちの住む街、自治体へと広がり、内外の政治へと意識が広がっていくだろう。地域の課題を取り上げて、政治参加する模擬経験も良いだろうと思うが、所詮それは選挙権がない部外者でしかない。当事者にはなれないのだ。学校のルールに関わるルールメイキングは、まさに当事者である生徒たちの意識に直接訴える実践なのだ。

 このような議論も中央教育審議会教育課程部会の社会・地理歴史・公民ワーキンググループでやってほしいものだ。


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