直面する通信制高校の課題


 4月21日に文科省が2025年度の通信制高校に関する実態調査の結果を発表した。そのデータを見ると、私の肌感覚ともマッチする。25年度入学者(7万7998人)のうち、中学3年生のときに不登校だったのは4万4461人で、57.0%だというのだ。6割近い生徒が、不登校経験者なのである。

その結果を表したのが、次のグラフである。

 通信制の制度が設けられた頃は、勤労学生を対象にしていたと聞く。昭和の話だ。それから全日制高校をドロップアウトした生徒の受け皿となった。その当時の話を聞くと、かなりしんどい生徒が在籍していたようだ。それが昭和の終わりから平成の時代である。そして令和の時代。通信制高校は、不登校生徒の受け皿となった。コロナ禍を経験して、中学校を卒業して、全日制高校を選ばずに通信制高校を選択する生徒も増えたのだ。

 通信制高校が不登校生徒の受け皿になっていることは、良いことだろう。1時間目から6時間目まで時間割が決められ、自分で決められる選択肢が少ない全日制に比べると、通信制は、格段に選択の幅が広い。何せ、どの授業を取るのか、いつ来るのか、は全部自分で決めることができるのだ。自由度が高いと言える。

 ところが、この制度を活用するのは、全日制をドロップアウトした生徒が多い。中学校で不登校を経験した生徒は、時間割が決められたコースを選択することが多いのだ。不登校経験が、「自分で決める」という事さえできなくしているのかもしれない。

 さて、この実態調査では、SCやSSWの配置が、公立の通信制と私立の通信制では差があると指摘されている。確かに、この二つの制度については、通信制こそ充実させるべきだろう。特にSSWについては、私立高校は20%ほどしか配置されておらず、困窮している家庭から通学する生徒への支援には必要だ。

 しかし、足りないのはそれだけではない。不登校生徒の学習の抜け落ちに対する対策が十分ではないのだ。いくら通信制とは言え、高校の学習指導要領に基づいて授業が行われる。小学校3年生から不登校で学校に行っていない生徒に、どうやって数学Ⅰの授業内容を教えたら良いのか。英語や数学という積み上げの科目の授業については、対策が必要ではないかと思うのだ。
 そう考えると、無学年制のAI学習機能が付随している学習ソフトを導入するのも一つの手ではないかと思う。一人一人、学習の抜け落ちには個人差があるのだから、このようなソフトを活用して、自学自習を促さなければ学習の抜け落ちは取り戻せない。

問題は、こういうシステムを導入するには、お金がかかるという事である。だが、一早くこのような対策を行った私立通信制こそが、生き残っていくように思うのだ。


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