高校無償化政策を整理してみた!


 3月12日、府立高校入試の日、18時からの関西テレビのニュースに橋下氏が出演していた。テーマはズバリ、「高校無償化」についてである。大阪府の府立高校の定員割れ状況は、多くの機関が報道しているので、ここで繰り返す必要はないだろう。つまるところ、条例のせいで府立高校がどんどん消えていくということだ。この事態に対して橋下氏は、
「15年前に私が狙った通りの結果が、今実現している」というのだ。彼の主張は、
少子化が進んでいるにもかかわらず、高校の数が多い。それを教育基本条例で、再編統合していく道筋をつけたのだ
というものである。政治家は、このような嫌われる政策に対して誰も踏み込んでこなかった。大阪維新が初めて踏み込んだのだというのである。
ただし、今の日本維新の会が提唱する高校無償化については異議があるらしい。というのも、所得を撤廃することで、私立高校の授業料を払える高所得者層は授業料以外に子どもへの教育費をかけ、益々教育格差を広げてしまうからだというのだ。この意見については、全く賛成だ。払える能力のある家庭には、払ってもらう必要がある。浮いたお金は、文教予算に回せばいいわけだから。

 阪大の高田教授が、「今の受験のやり方では、公立と私立は平等ではない。私立の方が先に受験をし、同等のレベルの学校であるならば、先に進路先を決めたいという心理が保護者生徒に働く」と指摘した。この点について、橋下氏は、「その通りだ」と言った。確かに言った。それなら、なぜ、あなたが大阪府知事をしているとき、もしくは大阪維新が府政を握っているときに実施しなかったのか!と言いたい。強烈な私学団体からの抵抗があるだろうが、それを押し切ってでも実現するのが、橋下氏がよく口にする「政治の役割」ではないか。

 この間、何回もこの高校無償化についてブログを書いているので、少し整理をしてみたい。
①大阪府の教育基本条例の「3年連続定員割れすれば、再編対象」というのは、優れた政策である。少子化が進む中で、高校だけではなく小中学校も、統廃合の必要性に迫られている。ところが、学校の統廃合には、市町村・卒業生などステークホルダーが多く存在し、なかなか推進できないというのが実態だ。その統廃合に対してエビデンスを示したのが、この条例である。定員割れをするという事は、府民にニーズが乏しいという事だから、再編対象になるという事である。

②高校無償化については、所得制限を入れるならば、賛成である。家庭の経済状況で行きたい学校にも行けないというのは、良くない。ところが、今回の高校無償化は、所得制限が撤廃されている。これでは、教育格差がどんどん広がっていき、経済格差の再生産を起こしてしまう。

③問題は、大阪府のこの間の「社会実験」からもわかったように、現行の受験制度では、消滅していくのは公立高校であるという事だ。吉村氏や橋下氏は「私立高校も定員割れをしているではないか」というが、この高校無償化政策が私立高校の延命策になっているという事だ。宇都宮海星学園理事長の石川一郎氏は、今回の3党同意について「地方の私立校ということで考えると、神風が吹いた。学校としてお金が担保される、学費が取れるのはとても助かる」と率直に述べている。少子化故に縮小していくパイを、まずは私立高校が食ってしまうというのが現状なのだ。残りのパイを公立高校が食い合っているのである。

④この問題を解決するには、高田教授が言うように公立高校と私立高校の受験日を同日にすることである。これで初めて生徒獲得競争において公立と私立が同じ土俵でできることになる。私は、この主張を大阪府の教育振興基本計画で「公私における切磋琢磨」が掲げられた時から唱えている。もう、8年近く前だ。修士論文にもまとめた。ただ、これだけ言うと、受験機会が減るではないかという懸念があるので、1次試験、2次試験と公私同時日受験を増やしていく必要がある。もし、同日入試に賛同できない私立高校がいるなら、授業料無償化の対象から外し、有償で別日受験をすればいい。私立の経営戦略として、その方が生徒が集まると判断すれば、それでよいではないか。

⑤もう一つ、今回の高校無償化に付け加えなければならない政策がある。それは、私立高校の無償化対象をどのようにするのかという事だ。つまり、大学の私学助成のように、問題のある私立高校にまで税金をつぎ込むのかという問題だ。そういう高校は早急に教育現場から退場願うために、税金の投入を停めるべきだろう。この税金投入資格は、少なくとも次の三つの事が必要だ。
 ア)経営体質の健全度
 イ)体罰などの暴力行為の有無
 ウ)中退率
である。理事長などの不正な経営、部活動などでの暴力行為(つい最近も京都の私立高校野球部で発覚)、中退が全生徒の1割を超えるなどは、教育機関としては異常事態である。

⑥最後に、公立高校の魅力化に向けた経営の弾力化(校長の経営権限の拡大)とヒト・モノ・カネの投入である。公立高校の環境は私立高校とあまりにも違いすぎる。それは、この国の貧弱な文教政策のせいだ。これは橋下氏の口癖である「政治の役割、政治の仕事」だろう。日本維新の会は、文教予算の増額を言わなければならない。

以上、高校無償化について、整理をしてみた。皆さんのご意見をお伺いしたいと思う。
 


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