フジ問題にみられるテレビ局という問題

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 1月27日16時からフジテレビ局のやり直し会見が行われた。10時間を超す異例の会見であったようだ。あまりに長いので、途中から見るのをやめた。朝の新聞報道で知ったことだが、問題の発端となった中居氏への聞き取り調査を行っていなかったという。問題発生後も中居氏を起用し続けたフジは、「女性局員のプライバシーへの配慮」と今は言っているが、本当のところはどうなのかという事は疑わしい。中居氏が女性にコンタクトを取ることを考慮したというが、それを考慮して、被害者である女性とのトラブルについて事実関係を聞き取らないというのは、テレビ局としての姿勢はどうなのだろうと思う。とにかく、今回の会見で全容があきらかになったわけではなく、第三者委員会の調査を待つほかない。

 フジテレビ局の企業体質が問題視されるが、民放というマスメディアに通じる共通の体質が、フジテレビ局で先鋭した形で表出したのではないかと考えてしまうのだ。それは、視聴率至上主義だ。これはどのテレビ局でも持っている体質である。視聴者にとって意味がある番組を作成し、結果として視聴率が上がるというのが、本来の正常な形である。しかし、スポンサーから経営資金を得ている民放からすると、視聴率を取ることが至上命題となってしまう。そのために、より享楽的な番組を作成したり、人気のある芸能人を出演させたりすることになる。時には、教育的に問題視されるような番組も放送され、子どもに悪影響を与える(例えば、番組をまねたいじめが起こる)場合もあるのだ。視聴率を取るために、視聴率がとれる番組を作成するという姿勢は、国民に迎合しているようにしか見えない。政治の世界で言われるポピュリズムと同じだ。

 その一方で、国民が欲している情報を発信しない。特に、選挙期間中に報道の自粛をすることで、誰に、どの党に投票するのかという判断基準を提供しないのだ。東京都知事選や兵庫県の知事選で、SNSの威力が大きく発揮された。今、SNSが問題視されているが、問題視すべきはテレビ局の報道自粛の問題ではないかと思う。ほしい情報をテレビ局が提供しないから、SNSに情報を求めていくのだ。オールドメディアがファクトチェックを行っているというのなら、きちんと報道を行うべきだろう。

 視聴率至上主義が蔓延る中で、今回の問題が発生した。第三者委員会は、どこまで踏み込むことができるのだろう。大いに期待したい。できれば、テレビ局全般の体質にまで踏み込んでほしいものだ。


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