政府・与党はことし3月に開かれる核兵器禁止条約の締約国会議に与党の議員を派遣する方向で調整に入り、一方、政府のオブザーバー参加は、これまでと同様、見送ることとした。これに対して、政府のオブザーバー参加を求めていた日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の和田征子事務局次長は
「派遣される議員が何をするのかが大事だと思うが、私たちは政府として参加を求めていたので残念であり、その対応には批判の声を上げていきたい」
とコメント。また、日本被団協の代表委員で広島県被団協の理事長を務める箕牧智之さんは
「ノーベル平和賞を受賞し被爆80年の中、なぜ政府がオブザーバー参加できないのか怒りとあきれを感じる。これまでそっぽを向いてきたと思っていたので形だけでもありがたいが、日本は態度を示すべきだ」
と怒りを露わにしている。さらに、長崎県の被爆者団体「長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会」の川野浩一議長(85)は
「ノーベル平和賞を受賞した日本被団協から参加の要請を受けた中でそれにまったく対応しないと格好がつかないので、政府以外の形で参加することにしたのだと思うがそれは卑怯だと思う。きちんと唯一の戦争被爆国として、日本政府が国を代表して参加するべきではないか」
と意見している。当然事だろう。世界で唯一の被爆国であるがゆえに、この核禁止条約締結国会議には、日本は参加しなければならないのは当然だ。
政府はどういう理由で核禁止条約締結国会議に参加しないのか。それは、核保有国が、この会議に参加していないので核廃絶に向けて効果は限定的だというのだ。確かに、現在の国際情勢では、そのような情勢分析はあり得る。それは間違っていないだろう。問題は、だからどうするのかという事なのだ。核兵器が世界に配置されている現状を是とするのか、それとも核兵器廃絶に向けた運動に積極的に参加するのかということだ。日本は、世界で唯一の被爆国という立場が問われているのだ。
核兵器廃絶の道は、簡単ではないという言葉で表せないほど、ゴールは遠い。実際の国際政治は、核抑止論に基づいて微妙な力関係の上に成り立っている。日本は核を保有していないが、アメリカの「核の傘」で守られているのも現実だ。この現実を受け入れながらも、「日本は核兵器廃絶の道をめざす」という表明もできるではないかと思う。事実、ドイツは、NATOの核の傘にありながら、核兵器禁止条約の締結国会議にオブザーバーとして参加しているではないか。同じ第二次世界大戦の敗戦国であるドイツが参加し、被爆国である日本が参加しない。世界は、この日本の立場表明をどのように受け止めるだろうか。これだけでも、政権交代が必要だ。
公明党は、何をしているのか。公明党は「平和の党」ではないのか。看板は嘘かと思う。政権与党に与しながら、このような決定を許してしまうなら、公明党としての存在意義が薄い。というより、無いだろう。しっかりしろよ、公明党!
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