就業時間は改善されているのに・・・

,

 公立学校共済組合にによると、2023年度の調査で、医師による面接が必要な「高ストレス」の教職員が最高の11.7%に上ったことが、28日の読売新聞で報道された。そこで、公立学校共済の調査結果の一次資料からデータを入手して、自分なりの分析をしてみようと考えた。
下のグラフからわかるように、高ストレス者の割合は、過去最高を示している。と同時に、精神疾患による病気休職者の割合も急増しているのだ。

 校種別、年代別に見てみると次のグラフのようになる。

どの校種も、そしてどの年代も増えていることがわかる。更に、年代では30代・40代という学校の中核年代が急激に増えており、校種では、中学校・高校が増えていることがわかる。更に精神疾患で休職した教職員の年代別比較が次のグラフだ。どの年代も増えているとはいえ、圧倒的に20代の急増が際立っている。

この調査では、就労時間も調査しているので、グラフ化してみた。それが下のグラフだ。そうすると、教員の働き方改革が一定程度進んでいることがわかる。そして、休職者が多い20代・30代・40代でも長時間労働は改善の方向に向かっているのだ。

そうすれば、この高ストレス者の増加や休職者の増加は、何に起因するのだろうか?20代・30代のストレス要因をグラフ化してみた。そうすると、以下のようになった。
(1)30歳代では、事務的な業務量・対処困難な児童生徒への対応・校務分掌・保護者対応が増加している。若手から中堅になるこの年代は、学校の中核になっていくので、校務分掌の負担が大きくなるのは当然だろう。部活動指導が減少しているのは、部活動指針などの成果が表れていると言える。
(2)20歳代では、対処困難な児童生徒への対応・事務的な業務量・保護者対応が増加している。この3つの要因については、30歳代でも同様だ。
(3)また、人間関係(同僚)も減少しているのは、互いに職場で支え合う雰囲気ができつつあるのだろう

 さて、ここからが問題だ。全体としては就労時間も改善傾向にあるにもかかわらず、なぜ高ストレス者が増え、休職者も増えているのだろうか。ストレス要因の中で増加しているのが、「対処困難な児童生徒への対応・事務的な業務量・保護者対応」の3つだ。単純に考えると、対処困難な児童・生徒が増加し、事務量も増え、保護者対応も困難になっていると言える。しかし、果たしてそうだろうか。確かに不登校や発達障害と思われる生徒も増加している。減っているとは言えない。いわゆる「モンスターペアレンツ」と言われる保護者も減少したという話は聞かない。だから、ストレス要因として増加しているのだろう。
 だが、2016年と2022年でこの二つの状況は、大きく変わったのだろうか。事務量においては、教育行政も含め、減らしているはずだ。なのに、ストレス要因として増加している。私は、この原因は、教員の劣化にあるように思う。全ての原因を教員の劣化のせいにするつもりは毛頭ない。しかし、この「教員の劣化」という視点も忘れていけないのではないかと思う。今までの教員なら、対応できていたことが対応できない、保護者と信頼関係を結べていたことが結べないという教職員が増えたのではないかと思うのだ。特に20代の休職者が急増しているのが、その表れではないかと思う。 
 各都道府県の教員の採用倍率は、どんどん低下している。今まで不採用であった志願者が合格しているのだ。現在、採用している教職員の質はどうなのか、この観点からも分析が必要ではないかと思った。一度、合格した教職員の出身大学の偏差値調査をしてはどうかと思う。偏差値が教職員の優劣を示すかどうかについては、意見が分かれるところだろうが、一つの指標として調査の価値はあると思う。このような問題と教員のストレス問題の因果関係も調査しても良いのではないかと思う。と言っても、このブラックな職場に就職してくれるだけでも、貴重な人材であり、大切に育てなければならないのだが・・・。
 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP