私の故郷 ウクライナ ー NHK

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 12月27日、夜10時から放映された「私の故郷 ウクライナ」(NHK)の録画をやっと見ることができた。と言っても、たまたまいつも録画している「歴史探偵」の代わりに録画されたもので、残念ながら残り5分程が切れていた。それでも、内容は十分に伝わった(と思っている)。
 この報道は、日本のNHKに勤めているウクライナ人、カテリーナさんの話である。彼女は、5年前に来日して、NHKのディレクターの仕事をしている。2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻した時、そのニュースを知った彼女は、「私の国で戦争が始まった!」と悲痛な思いで涙した。その後、彼女は、ウクライナでの戦争を日本で伝える仕事に携わることになる。しかし、彼女の中で葛藤が起こる。「戦争が起こっているウクライナで、1分も過ごしたことのない私が、戦争を伝えることができるのか」という思いである。そして、彼女は母国に帰る決意をする。そのドキュメンタリーがこの番組である。

 カテリーナは、ジャーナリストとして今回の帰国でテーマを決めていたようだ。両親、街で会う人、同級生、そしてその妻に、次の二つのことをインタビューする。
 「あなたは10年後、何をしていますか?」
 「あなたの夢は何ですか?」
である。答えは、悲痛だ。
「10年後?そんなことは考えられない。」
「夢?そんなものは持っていない」
「この戦争が終わること」
といったものだった。それを聞いたカテリーナは、こう言う。「戦争が始まる前に、そんな答えを聞いたことが無かった」と。

 このドキュメンタリーは、改めて戦争の悲惨さを教えてくれる。人々から希望というものを奪い去るということだ。毎日、毎日、ガザでの戦争(というか人殺し)のニュースが流れ、ロシアによるウクライナへの空爆のニュースが流れる。その下で生きている人たちが、どんな思いで暮らしているのか、このドキュメンタリーは、伝えてくれる。希望を奪い去ること、これも戦争の悲惨な一面であることを改めて思い知らされた。

 短い期間でも戦時下の母国を知ったカテリーナは、今後どのようにこの戦争を伝えるのだろうか。彼女の思いを聞いてみたいと思う。

 以下、余談だが、彼女はキーウ大学の出身で母校を訪れる場面が映し出された。キーウ大学の赤い校舎である。懐かしいと思った。40年ほど前、キーウを訪れた。その時もこの壁を見た。白や薄黄色の建物が多いキーウの街で、この赤い建造物は異彩を放っている。これには歴史的意味がある。「キーウ大学 赤い建物」で検索すると、その意味が分かる。ウクライナの歴史を物語るエピソードだ。


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