10月9日の朝日新聞の「耕論」で、「『部活の足』どうする」という特集が組まれていた。記事に登場していたのは、石見智翠館高校ラグビー部総監督の安藤氏、早稲田大学の中澤教授、そして名古屋大学で公共交通政策を専門とする加藤教授の3氏である。それぞれの主張の見出しは次の通りだ。
安藤氏:「対外遠征 夢かなえる手段」
中澤氏:「どれくらい活動?精査を」
加藤氏:「地方の交通網確保と共に」
加藤氏は地方の交通網の再編・維持を訴えているが、これほど人口減少が進む中でどのように整備しようというのだろうか。やや実現可能性に欠ける提言だと感じざるを得ない。一方で安藤氏の主張は、学校現場の切実な事情として理解できる部分もある。島根県内にはラグビー部のある高校が3校しかなく、直近の全国大会地区予選では予選なしで全国出場が決まったというほどで、普段の対外試合すら覚束ないという。練習試合を行うためだけに他県へ遠征せざるを得ない事情は察するに余りある。
しかし、事情は分かるものの、頻繁な遠征の繰り返しが教員・生徒・保護者に強いる負担は非常に大きい。ここは発想を転換し、県内の大学生や社会人チームに目を向けてみてはどうだろうか。私自身、高校時代にラグビー部に所属していた際、警察のラグビー部が主催する講習会に参加した経験がある。そこでは模範的なプレーの披露や合同練習が行われた。大学ラグビーであれば2軍・3軍といった層の厚さもあり、高校生が相手であれば安全面にも配慮して胸を貸してくれるはずだ。
最も頷けたのは、早稲田大学の中澤氏の意見である。とにかく現在の遠征のあり方を精査すべきだという主張だ。勝利のみを追い求めれば「遠征、遠征」となってしまいがちだが、それが真に生徒の成長につながるのかという視点を持つべきだと説く。中澤氏は次のように締めくくっている。
「授業や友人との時間、家庭で過ごす時間も、子供の成長にとっては重要です。勝利至上主義の熱狂から距離を置き、子どもの発達段階に応じてどこまで部活をするのか、必要な遠征なのかを、見極めるべきです。」
まったくその通りではないだろうか。私立の強豪校と呼ばれる部活動の顧問や関係者こそ、この中澤氏の提言に真摯に耳を傾けるべきである。

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