今日も前回に引き続き、全国学校図書館協議会の調査結果の分析である。同協議会の第5次計画では、2027年度までに不読率を小学校で2%以下、中学生で8%以下、高校生で26%以下を目標としている。不読率が高い高校生については、探究的な学習で図書館の利用を促し、本に触れるきっかけを作るとしている。果たして、この計画は成功するか?
図書館について、どのようなイメージを持っているかという設問に対する回答結果が、次のグラフである。
小中高共に、「本を読むところ」がダントツなのは、当たり前だろう。小学生で、「わからないところを調べるところ」の項目が第2位、中学生でも第3位に入っている。高校生でも第3位だ。これを受けて、同協議会では「探究学習での利用拡大」を提案しているのだろう。確かに、小学生では意味がある。まだまだ知識量が少ない小学生の探究学習は、調べ学習の範囲で終わることが多く、知らないことを調べる場所として図書室は有効だろう。さらに、教師も「図書室で調べ物をしよう」と図書室の利用を推進する。
ところが、中学生になってくると、探究学習も調べ学習の範囲で終わっていては探究学習とは言えない。さらに自分で問いを立てて、深く学ぶということが必要になってくる。深い学びをするためには、当然問いを立てた分野に対する深い学習が必要になるし、専門家や実際に問いの解決のために活動している社会人や団体から学ぶということも必要になる。そうすると、図書館の中にある知識量では足りないのである。高校生となれば、この傾向はさらに深化する。SSHの探究学習をみれば、明らかに高校での学習の範囲を超えている。大学の教員との連携、専門機関との連携が求められている。この取り組みを参考に、全高校生に広げようとする高校での探究学習は、果たして高校の図書館レベルで対応できるのか。例えば、先行論文を調べようとしても、高校の図書館には所蔵されていない。ネットで調べたり、連携している大学の図書館で調べることになる。このように考えると、小学校の成功事例を高校に単純に当てはめるのは、中々難しい。
どうすればよいか。これから高校での探究学習は、益々拡大し、進化・深化するだろう。そして、研究発表には、必ず参考文献が提示される。過去の参考文献を蔵書コーナーを設けてはどうだろう。「探究学習文献コーナー」として、先輩たちがどんな文献を読んで探究学習に取り組んだのか、その成果と水準を引き継ぐ場所として図書室を活用してはどうかと思う。当然、そのコーナーには、プレゼン資料やレポートも含まれるのだが。それにしても、お金は必要だ・・・。
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