21世紀出生児縦断調査-自尊感情②

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 昨日に引き続き、標記のデータを分析してみた。昨日は、「色々な良い素質を持っている」という項目について、肯定感が、その他の都市>大都市>郡部となっており、否定感も同じ傾向にあった。そして郡部に「どちらともいえない+不詳」が圧倒的に多いという結果になった。引き続き、以下の自尊感情についてデータを大都市・その他の都市・郡部という切り口で分析してみた。
●人並みに価値のある人間である
●自分には自慢できるところがあまりない
●自分に対して肯定的である
●だいたいにおいて自分に満足している
●もっと自分を尊敬できるようになりたい
その結果が、下の結果である。

明らかに、「いろいろな素質を持っている」という項目とその他の項目に違いがある。これはいったいどういうことだろうか?
 私の仮説はこうである。
「素質」という言葉の理解には色々ある。才能や能力という捉え方もあるし、そうでない資質という捉え方もある。しかし、この結果を見ると、回答者は才能・能力というニュアンスで解釈したのではないかと思われる。そう仮設すると、この結果にも納得感がある。つまり、
(1)大都市は、人間関係も密なので、様々な情報にあふれており、社会インフラも充実している。それゆえ、自身の才能や能力に気づく機会も多々ある。その一方で、人口密度が濃い故に、自分よりも才能にあふれ、能力が高い人間に出会う可能性が高い。
(2)一方、郡部は大都市の逆である。社会インフラも情報も十分でないが故に、自分の才能や能力に気づいたり、開発したりする機会に恵まれない。だから、「どちらともいえない+不詳」が極端に高くなる。
(3)その他の都市は、大都市ほど情報や社会インフラが充実していなくても、郡部よりは整っている。さらに、人口密度もそれほど高くないので、自分よりもはるかに才能や能力に恵まれている人間に出会う可能性も低い。そうすれば、「地方都市で〇番!」というチャンスにも恵まれている。逆に、一旦序列が固定化すると、人口の流動性が低いがゆえに、自分の位置が固定化されてしまう可能性が高い。よって、肯定感も高く、否定感も高いという結果になった。
(4)その他の項目は、まさに自尊感情・自己肯定感に関する問いであるため、住んでいる環境に大きく影響されずに、「日本の若者」の傾向を示しているのではないか。SNSの普及などで、情報は住居に関係なく均質化しつつあることが、ここにも表れている。

以上が仮説だが、どうだろう?何かもっと違う説があれば教えてほしいと思う。

今回は、自尊感情だが、他にも学校教育に関する項目もあるので、データ分析が終わり次第、ブログに掲載していきたいと思う。


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