9月4日の朝日新聞に学習指導要領に関する社説が掲載された。見出しは「学び続ける力を育むには」である。読んでみると、今回の学習指導要領の意図するところと、この社説はズレているように見える。
社説では、柱を次のように設定している。
一つは、情報教育の拡充、一つは学校の裁量を増やす新制度、最後に、学校卒業後も主体的に学び続ける力
である。しかし、今回の素案では、次のように設定されている。

まさに①に設定されているように、①「主体的・対話的で深い学び」の実装が最重要課題でなのだ。これが最重要に位置づけられているのは、現行の学習指導要領において「主体的・対話的で深い学び」が打ち出されたが、「深い学び」の実践に関して課題があるからである。世界的なコンテンツ教育からコンピテンシー教育への転換を受けて、日本でも知識偏重から資質・能力の育成に重点を移さなければならなかったにもかかわらず、「深い学び」の実践が十分に行きわたっていないという現状があるからだ。
学校現場では、高校受験や大学受験の内容が変わらなければ、授業内容の改革は難しいという声がある。しかし、大学入学共通テストは、「やたら難しい」と評価されるようになったように、学校現場はようやく気づき始めている。共通テストは、今までの知識偏重から資料を読み込み、思考力・判断力・表現力を問う試験に変わったからだ。付け焼刃の勉強では到底太刀打ちできない。高校を中心に共通テストに対応しようとすれば、日頃の授業から思考力・判断力・表現力を育てる「深い学び」を実践しなければならないのである。
この教育のコペルニクス的転換に関して、大手マスコミはほとんど言及しない。おそらく、学習指導要領の表層的な理解しかしていないのだろう。自分たちの理解が追いつかないのなら、偉そうに社説などを掲載せずに、「深い学び」の重要性を説いた中教審委員(例えば、京都大学石井英真教授など)の解説記事を掲載する方が、よほど学校現場には良いことだと思う。

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