7月5日~7日にかけて朝日新聞に「デジタル教科書の課題」上中下の特集が組まれた。この3回のシリーズで、朝日新聞の言いたい主張は、「教科書の形態(紙、紙+デジタル、デジタル)は、子どもが選べる制度にできないか」という事だ。
理由は、LDやディスレクシアなどの学習障がいがある児童・生徒にとっては、紙の教科書よりもデジタルで自分に合うように調整する方が良い場合があるからだ。だから、現在予定されている文科省のガイドラインについて、朝日新聞は問題提起している。すなわち、小学校4年までは紙の教科書、国語や道徳なども紙の教科書の使用というものである。問題提起については、理解できる部分もある。確かに文字を読み取ることができなかったり、書くことができない子どもがいるのも事実だからである。
朝日新聞らしい問題提起だと思うが、この問題提起について指摘をしておきたい。
朝日新聞はデジタル教材の教科書への「格上げ」を是としている点である。中教審での議論で決定的に欠けていたのは、デジタル教科書の使用による負の部分である。すでに学者の研究発表にもあるように、デジタルを使うことにより脳への負荷が増すこと、学習効果が上がらないことなどが指摘されている。デジタル先進国のスウェーデンでも「紙への回帰」が起こっている。これらのことに対する検証がなされていないことである。朝日新聞は、この点についてどのような見解を持っているのだろうか。まずは、デジタル教科書の負の部分に対する見解を朝日新聞が明らかにすべきだろう。
その上で、様々な学習障がいがある児童・生徒に対する手当をどのようにするかが課題になる。中教審でデジタル教科書の専門部会で座長を務めた東京学芸大学副学長の堀田龍也氏も、朝日新聞の「教科書の形態は、子どもが選べる制度にできないか」という問いに対して、
「将来的にはそうなると良いですが、いますぐには実現は難しいでしょう。そもそも子どもたちは、与えられた教科書と教材で与えられた内容を学ぶことしかまだ経験しておらず、学びやすいものを主体的に選ぶ学習経験が少ない」
と指摘している。その通りだ。特に低学年の小学生ほど、「主体的に選ぶ」というのは難しい。堀田氏がこのような見解しかないなら、デジタル教科書の有効性・有用性とは何かという事になり兼ねない。何のための中教審の議論だったのだろうと改めて思う。
文科省のガイドラインにも教科書の例外使用が認められているという。この制度を充実させ、学習障がいなどの早期発見、早期支援につなげることが良いのではないか。

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