2026年の1月から3月の四半期で読んだ本を紹介したい。いずれも新書である。
「中国共産党が語れない日中近現代史」 兼原 信克 (著), 垂 秀夫 (著) 新潮新書
「新書 世界現代史 なぜ『力こそ正義』はよみがえったのか」川北 省吾 (著)
講談社現代新書
「現代戦争論 ――ロシア・ウクライナから考える世界の行方」小泉 悠 (著)
ちくま新書
である。私の読書の時間は、職場からの帰りの電車の中だ。大体、1か月1冊のペースだ。少し感想を述べてみたい。
1.「中国共産党が語れない日中近現代史」
この本を知ったのは、読売新聞の日曜版の本の紹介だったと思う。著者は、中国大使だった垂氏と元内閣官房副長官補、国家安全保障局次長、外務省国際法局長の兼原氏だ。いずれも対中国に対して、国際政治の最前線で実務を担ってきた人の著作だ。
この本は、中国の近現代史が書かれており、孫文の辛亥革命から話が始まる。知らないことも多く、興味深く読んだ。最も面白かったのは、もともと、靖国問題も教科書問題も中国共産党は、そんなに問題視していなかったという事だ。ところが、朝日新聞を中心とした左派的オールドメディアが日本国内で問題視する中で、中国共産党も無視できなくなる。そうすると、左派新聞が「中国が問題視している」と取り上げるという図式で問題が大きくなったという事だ。朝日新聞の罪は改めて大きいと言わざるを得ない。国益を損ねるメディアである。
2 「新書 世界現代史 なぜ『力こそ正義』はよみがえったのか」
この本は、高校生も読むべきだろう。学校では学ばない国際政治の現代史である。アメリカ、ロシア、中国、インド、BRICS、欧州などの様々な現在進行形の事象を取り上げ、要人へのインタビューを織り交ぜながら展開されているので、なかなかリアルである。
この本の切り口は、「レコンキスタ」である。本来は、イスラム教徒に占領されたイベリア半島を奪い返す国土回復運動を指すのだが、この本の中では、大国の為政者が思う「レコンキスタ」を描き出している。アメリカのトランプ、ロシアのプーチン、中国の習近平のそれぞれの頭の中にある「失地」を取り戻すために、様々なハレーションを起こしているのが、今の国際情勢であるという切り口は非常に明快だ。
3.「現代戦争論 ――ロシア・ウクライナから考える世界の行方」
言わずと知れたロシア軍の研究をしている、自称職業的軍事オタクの小泉氏の著書だ。現時点でのロシア・ウクライナ戦争を描き出している。読み応えがあったのは、ロシア戦争論に基づく現況の分析であり、当初のプーチンの予定を大きく狂わせているというのが現在の状況であるという事だ。私がよく読むエマニュエル・トッド氏は、この戦争をロシアの「防衛戦争」と位置付けているが、小泉氏は、明らかにロシアの侵略戦争と位置付けている。その点、とても読みやすい。現在では、アメリカ・イスラエルによるイラン戦争が世界の話題だが、今でもウクライナとロシアの戦争は継続しているという事を思い起こさせる本だ。
また、日本にいるとロシアは世界から孤立しているというように見えるが、実はそうではないという事を小泉氏は指摘している。孤立しているところもあれば、そうでないところもあるという点を私たちは再認識すべきだろう。
現在私が読んでいるのは、「2030 来たるべき世界」(朝日新書)である。エマニュエル・トッドを中心に、多くの専門家が登場し、彼との対談などが掲載されている。「西洋の敗北」は、途中まで読んだ。欧米の敗北という事がすぐには頭に入ってこず、なかなか理解が進まなかったが、この本を読むと理解が進む。要は、テクノクラートの問題なのだ。あれほどの制裁をロシアは受けているにも関わらず、ロシアは兵器を生産し続けている。しかし、イラン戦争でアメリカのミサイルの枯渇が問題視されていることを考えると、経済的なアメリカの敗北というのも頷ける。また、この間のトランプの様々な発言、例えば「文明の破壊(ジェノサイドの疑いあり)」「エネルギー施設への攻撃予告(明らかに戦争犯罪を公言している)」などを考えれば、アメリカの道徳的退廃はここまで来たかと言わざるを得ない。
トッド氏の指摘も頷けるものがある。

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