「骨太の方針」-給特法はそのままか?!


 6月7日に政府の経済財政諮問会議が開催され、予算編成に向けた「骨太の方針」が決定された。昨日のニュースから今日の新聞にかけて、この件についての報道がされている。「オッ」と驚くのは、この「骨太の方針」に教育の課題が盛り込まれたことだ。おそらく初めてではないか。会議の資料については、「5.経済社会の活力を支える教育・研究活動の推進」として、教員の処遇の改善について言及されている。その部分を抜き出してみよう。

「我が国の未来を拓くこどもたちを育てるという崇高な使命と高度な専門性・裁量性を有する専門職である教職の特殊性や人材確保法の趣旨、喫緊の課題である教師不足解消の必要性等を踏まえ、教職調整額の見直しや、真に頑張っている教師が報われるよう、各種手当の見直しにより、職務の負荷に応じたメリハリある給与体系を構築するなど、給特法等の法制的な枠組みを含め、具体的な制度設計の検討を進め、教師の処遇を抜本的に見直す。」

となっている。学校現場が教員確保で深刻化していることを、政府も受け止めていることには期待したいと思う。ただ、給特法の廃止から教員への労働基準法の適用とはいかないようだ。「教職調整額の見直しや、真に頑張っている教師が報われるよう、各種手当の見直し」とあるように、明らかに現行の給特法の改正の範囲の中での改善に終わりそうだ。
 これでいいのだろうか。まず現場の視線で見ると、4%が8%になろうと、10%になろうと「定額働かせ放題」の実態は解消しない。給料が上がってもブラックな職場というイメージは、これからも付きまとうと思われる。民間会社が、人材を獲得するために労働条件を改善し、会社時間と自分時間の両立を図るという、まさにトレンドな動きをしていることとは、対称的だ。その結果、保護者・生徒は、今まで通り学校に過度な要求を続けることになり、家庭で行うべきこと、地域で行うべき教育に目がむかなくなる。
 次に、政府‐自治体から見てみよう。すなわち金を払う側である。先にも述べたように、4%が上積みされても学校現場の「定額働かせ」状態は改善しない。給料で払う金だけが増える状況である。これでは、根本的な解決にはならず、教員不足も解消しない。つまるところ、給特法の廃止を視野に入れた改革をしない限り、公立学校で働く教員の労働環境も改善しないし、教員不足も改善しないし、給料に支払う金だけが増えるという結果になる。労働基準法を適応しない限り、教員の時間管理意識も管理職の教員への時間管理指導も効果を持たないのである。そして、保護者・生徒・地域も自らの教育的な任務に気づきにくい状態が続く。家庭で使うスマホの時間の管理は、家庭教育の範疇でしょう。子どもが親の言うことを聞かずに、勝手気ままに家庭でスマホを使うため、学校で「生徒全体で規制してほしい」という論理になる。親が子どもに乗り越えられている段階で、家庭教育は成立しない。
 すでに、国立大学法人と私立学校では、労働基準法が適用されているのであるから、これに見習って公立学校でも同様の改革を行うべきだろう。と言っても、国立大学法人は、時間外労働に関して訴訟になったり、労働基準局から是正勧告が出されたり・・・一向に参考にならないが。大学というもののマネジメントは、こんなものかと思ってしまう。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP