5月15日、文科省は3000億円規模の高校教育改革基金で支援する「改革先導拠点校」について、第2回の申請期限(3月31日)分の採択結果を公表し、富山、静岡の2県で計6校を選んだ。地域産業を担う人材育成、理数系人材の育成、地方の教育の充実の3類型に応じた新たな教育モデルづくりを進める。
とても良いことだと思う。高校授業料無償化によって、私立高校の人気が高まり、都市部、地方を問わず公立高校の定員割れが進んでいる。それも少子化が進む中での私立高校人気だ。採用されたのは、富山県の県立魚津高校(普通科)、県立小杉高校(総合学科)の2校と、静岡県の県立浜松工業高校、県立沼津東高校(普通科・理数科)、県立静岡中央高校(通信・定時制普通科)、県立焼津水産高校の4校。補助上限額は9億~22億円で、静岡県立中央高校が22・2億円と最も高い。普通科、総合学科、工業科、水産科などを対象に、理数教育の強化や探究的な学び、地域連携を軸にした改革に取り組む。
今回の採用は、パイロット校としての採用であり、これらの高校が今回の事業での文科省のモデルということだろう。面白いと思ったのは、魚津高校である。理科や数学、英語を重視する入試を導入し、理数系分野に秀でた生徒が受験しやすくする。文理選択をこれまでより1年遅らせて3年生で行うようにし、全生徒が「理数探究基礎」や学校設定科目の「サイエンス探究」を履修するという。ちょうど私の高校時代と同じように、3年生からの文理分けを行うというものだ。理系の私にとって、古典の学習は嫌でたまらなかったが、文系の生徒には、数学Ⅱbで習う指数・対数、微分積分はちんぷんかんぷんという人もいた。理系でも嫌な思いをする三角関数の一連の加法定理関係の公式群は、数Ⅲを習うための準備にすぎないので、「何のために?」と思う生徒もいただろう。
しかし、文系にとっては理系科目を、理系にとっては文系科目を高校時代に幅広く学習することは、将来の財産となる。特に統計に関する基礎知識は、あらゆる場面で必要になってくるので、是非とも学習してほしい。
さて、このパイロット校をモデルに、大阪府の選定校がどうなるだろうか。理系重視ということならば、文理学科の10校のなかでSSHに指定されている高校になるのか。しかし、大阪府は全国で展開されている探究学習の取組がとりわけ弱い。SSHで探究を取り組んでいると、京大への進学率が落ちるという文理学科の管理職や教員がいると噂に聞いたことがある。何を目的に教育をしているのかと疑いたくなる。
「地域産業を担う人材育成」としては、中小企業の町大阪を象徴するならば、工科高校が選ばれるのだろうか。しかし、工科高校は定員割れが凄まじく、選ばれたにもかかわらず、再編対象になりましたとなりかねない。
大阪府がどのような高校を候補として選んだのか、そしてその高校が文科省に採用されるのか。文科省が久しぶりに巨額の予算を付けて行うビッグプロジェクトだけに、注目していきたい。

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