「荒廃した学校を立て直す」を読んで


 麹町中学校の堀越校長が、工藤氏によって壊れた学校を2年半かけて立て直したドキュメンタリーを発刊した。「荒廃した学校を立て直す」である。発刊されたとたん、SNS上では、この本を巡っての議論が喧しい。工藤氏に賛成する側、さもありなんと堀越氏に賛同する側である。

 まず、この本には、あらゆる所に荒廃の「証拠」が示されている。そして、その荒廃を立て直した結果、どのようになったのかのエビデンスも示されている。もし、堀越氏に反論するなら、エビデンスを示して反論すべきだろう。それが正常の議論のやり方で、やたら感情的になったり、攻撃したりするだけでは、「麹町中問題」は前に進まない。

 工藤氏は自身のSNSで、この本に対して反論を試みているが、自身の学校経営が優位であることについてのエビデンスは、以下の内容である。

「私が校長を務めた6年間で、麹町中学校への入学希望者、入学者は大きく増えていきました。千代田区教育委員会の公表資料によれば、新1年生の入学者数は、
平成30年度 117人(4学級)
平成31年度 152人(5学級)
令和2年度 235人(7学級)
と大幅に増加しています。
私が退職した最後の年度には、学校選択の段階で350人が麹町中を入学希望し、結果として4月には235人の生徒が入学してきました。本当に「荒廃」し、「無秩序」になっていた学校に、これほど多くの家庭がわが子を通わせたいと希望するでしょうか。ちなみに現在の麹町中学校は、ホームページによれば1年生90人、全校生徒290人です。」

という内容である。これも、この本の中に「からくり」が示されていた。麹町中に入学すると、評定が高くなるからだ。それは、定期テストを廃止し、単元テストを繰り返し行うため、いわゆるテストの点数が上がるという結果によるのだ。数学では、内申点の「5」と「4」の割合が約70%になるという。本当にそれだけの力がついていればよいのだが、実は、全国学力学習状況調査の結果は、東京都の平均よりも麹町中の数学の平均は低い。堀越氏は、学校現場に勤める者なら「こんなことはあり得ない」とすぐにわかるという。その通りだ。

 さらに、評定が高くなると塾が喧伝し、麹町中への入学を勧めているというではないか。東京都の高校入試では、内申点のみや内申点を重視する入試もあり、それでこのように入学希望者が増えているというのだ。納得のいく説明である。工藤氏は、このことについて反論をしたいのなら、きちんとしたエビデンスを示すべきだろう。評定目当てでない、自身が行った「麹町中の実践」に憧れて入学者が増えたことのエビデンスである。

 次回は、この本を読んだ感想などを述べてみたい。


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