次はテレビ局だ!ージャニーズ事務所2回目の会見を受けて

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 10月2日、ジャニー喜多川氏の性加害の問題に関して、ジャニーズ事務所が2回目の会見を行った。会見内容については、各マスコミで詳細に伝えているので省略したいが、前から「補償会社とエンターテイメント会社は分離する方が良い。社名も変更する方が良い」と思っていた私には、それなりの納得感と、事務所側の覚悟が感じられる内容であった。被害者側が指摘しているように、まだまだ補償の内容やその原資については明らかではないが、ようやくこの問題が解決に向けたスタートラインについたと言えるだろう。本来なら9月の第1回目の会見で明らかにすべき内容であったが・・・。

 さて、この会見について、ファンと思われる人たちへの街頭インタビューが、各社で放映された。いずれも「ジャニーズ」という名称への愛着とその名称が消えてしまうことへの悲しみのような表現になっていた。ファンと思われる人たちの率直な感想だろうが、その表現内容には被害者の方々への思いや共感というものが、感じられないコメントが多かった。実際には、被害者への思いや共感を口にしたファンの方もいたかもしれない。テレビ局側の「切り取り方」の問題かもしれないが、圧倒的に自分の思いだけを語る若者が多かったのは残念である。このジャニー喜多川氏の性加害の問題は、もうエンターテイメント業界における世界的な問題として取り上げられており、単に日本の一つの事務所の問題ではないのだ。事務所は当然のことながら、マスコミもファンも、そして日本国民が、この性加害の問題にどう向き合うのかが問われている大きな問題となっている。そう考えると、ファンと思われる人たちの「自分の思い」だけを述べるコメントには、心の貧弱さを感じてしまう。ただし、被害者への理解や共感を述べる方もいたが、やはりそれなりの経験を積んできた大人と思われる人だった。若者の心の貧しさという問題が、今回の件によって浮かび上がったような気がする。共感する力をどのように育てるのか、とても大きな問題だ。

 各テレビ局が、今回のジャニーズ事務所の会見をうけてコメントを発表した。

ジャニーズ会見、テレビ各局の評価に差 TBS「改革の緒についた」フジ「具体的な詳細不明」…各局が声明発表

 このコメントを読んで、皆さんはどう思うだろうか?私はものすごく腹が立っている。今回のジャニー喜多川氏の性加害を拡大させたのは、マスコミ、それもテレビ局に大きな責任がある。最高裁でジャニー喜多川氏の性加害の事実が認められたにも関わらず、大々的に報道することを行わなかったマスコミ。判決後もジャニーズ事務所のタレントを使い続けたテレビ局。こういう体質が、ジャニー喜多川氏の性加害を拡大させたと多くの国民は感じているだろう。だが、今回の会見に対するコメントで、自社の姿勢に反省の弁を述べたのは、フジテレビのみで(それも不十分だが)、他局は、まるで自分たちは、第三者もしくは被害者であるかのようなコメントである。ジャニー喜多川氏の性加害の事実を知りながら、ジャニーズ事務所のタレントを出演させ続けたテレビ局は、自らがどのように考え、どのような判断で出演させていたのか、そして何が足りなかったのか、当時の担当者や経営者の口から直接語るべきではないか。そうでなければ、また同じ問題が発生しないとも限らない。

 ここまで書いて、ふっと思った。「テレビ局を批判するのは誰だ?」という問題だ。テレビ局は、絶大な権限を有している。自局を批判するようなコメンテーターを出演させない権限を持っている。さて、このテレビ局を批判するのは、いったい誰なのだろう。テレビ局の影響を受けないマスコミにも頑張ってほしいが、まずは国民が声を上げるべきだろう。「テレビ局は、この性加害問題について、きちんと総括しろ!トップは自らの言葉で説明しろ!」と。


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