中教審の緊急提言に対する緊急アンケート調査の実施を!


 8月28日、中教審の初等中等教育分科会「質の高い教師の確保特別部会」が文部科学大臣に緊急提言を行った。その詳細な内容は、下記を参照してほしい。そして、学校現場に関わる者は、この緊急提言をぜひ読むべきだ。果たして 現場で働く教員にとって、この緊急提言が心に刺さるだろうか。マスコミや専門家は、この緊急提言が学校現場でどのように受け止められたか、それこそ「緊急調査」を行ってほしい。
中央教育審議会初等中等教育分科会質の高い教師の確保特別部会(第3回)

 何回も繰り返しているが、公立学校教員は、「定額働かせ放題」という状態に置かれている。これが根本的な問題だ。4%の給料の上乗せが、8%になってもこの制度自体が変わらない限り、「定額働かせ放題」という状態は変わらない。日本の社会は今、人手不足に陥っている。人を確保するために、労働条件を改善している状況である。求人の謳い文句も「私生活の充実との両立」とか「定時退勤」「残業月10時間以内」などが民間企業で使われている。しかし、学校現場はまるで逆である。私生活を犠牲にして働いても、その対価は十分ではないという状況だ。さらに、保護者の過度で理不尽な要求に対してストレスから心病む教師が後を絶たない。教師になるために大学まで卒業して、学校現場に行ったら鬱になりましたでは、若者は教師をめざさないだろう。これが、学校現場の本質的な問題である。よって、以下の改革が求められる。

 第一に、給特法の廃止である。労働に対して正当な対価を支払わない職場に人は集まらない。もはや、志だけで教師が自己犠牲的に働く時代は終わっている。
 第二に、教員定数を改善して教員を増やすこと。そのことにより、教員の持ち時間数を減らすことが求められること。
 第三に、家庭教育・社会教育・学校教育の役割分担を見直し、学校教育への過度の分担を減らすこと。これは、給特法が廃止されれば、かなりこの役割分担を見直すきっかけになるだろう。

この3点が中教審としてやらなければならないことである。今回の緊急提言で述べられていることは、小手先の事でしかないし、実際有効かどうかわからない。例えば、「過度な要求をする保護者は教育委員会で対応を」と言っているが、多くの教員はこれがうまくいくとは思わないだろう。なぜなら、教育委員会は事案の当事者ではないからだ。教育委員会の指導主事がクレーム事案を対応しようとすると、その事案についての詳細な事実経過を報告することが現場に求められる。そのための労力は、学校現場の関係者が負わなくてはならない。当事者である保護者と教育委員会が話し合っても、その結果が学校にとって良い結果になることは少ない。不本意な結果による不本意な改善を求められ、結局労働強化につながることも有りうる。そんなことをするぐらいなら、スクールロイヤーを配置する方が、よっぽど良い。しかし、金がかかるから配置されないのだ。もう、金をかけずに小手先の改善を求めることは止めにしてほしい。こんな緊急提言しかできないのなら、学校現場は益々崩壊していくだろう。


“中教審の緊急提言に対する緊急アンケート調査の実施を!” への1件のコメント

  1. NORIMI FUjIMOTOのアバター
    NORIMI FUjIMOTO

    まったくここに書かれておられる通りだと思う。
    小手先のことばかりで、根本に迫ろうとしない。
    面白いのは、「管理職手当の増額」。全国の管理職のみなさんは喜ばれるかもしれないが(私もその立場だったら、よっしゃー!と思うかもしれないが)、しかし、これは、現在の教育現場の抱える難題の根本的な解決につながるのであろうか?まずやらねばならないことなのか?もうちょっと現場の声に国を担うおえらさん方は正対してもらいたいものだ。

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