中公新書から出版された東大教授の境家氏の「戦後日本政治史」を読み終えた。通史として、非常にコンパクトにまとまっており、まさに戦後の日本政治史を学ぶにあたって、良書である。物心ついたころからニュースで話題になっていた「角福戦争」や「三角大福中」などの言葉や、それ以前の政治の流れがよくわかる。
氏によれば、戦後政治史は
(1)1945年~1955年の戦後憲法体制の形成
(2)1955年~1970年代半ばの高度経済成長期
(3)1970年代半ば~1980年代の安定成長期
(4)1990年代~2000年代の「改革」の時代
(5)2000年代中葉~2020年代の再イデオロギー化の時代
に大別され、現在は、「ネオ55年体制」ではないかと指摘している。確かに、第2次安倍内閣が登場してから、左右のイデオロギー対決が再燃するような政治課題が取り上げられてきた。政権与党である自公は相変わらず、絶対多数を有しているし、2大政党制をめざしたもう一方の政党である民主党は分裂した。立憲民主党は、益々左傾化し以前の社会党と変わらない。それに反発して分裂した国民民主党は、まるで民間労組の同盟系の支援を受けた民社党と同じ立つ位置にいる。氏がいうように、現在は「ネオ55年体制」のように見える。
しかし、果たしてそうだろうか。次の総選挙の結果で初めて氏の見解の正しさが立証されるように私は考える。そういうのも、今春の地方統一選挙で日本維新の会が躍進したからである。最近の政党支持率でも野党第一党であった立憲民主党を上回っている。この日本維新の会が、次の総選挙でどの程度議席を獲得するのかで、現在の政治状況が評価できるだろう。
日本維新の会は、国家観や外交政策、そして憲法観についても自民党タカ派に近い。自民党との論点は、左右のイデオロギー対決ではなく、保守か改革かが論点になっている。「身を切る改革」はまさにそのことの象徴だろう。日本維新の会が躍進し、野党第一党になれば、氏のいう1990年代の改革の時代が、再燃するということだろう。日本が「失われた30年」を経て、「斜陽国」として世界での地位を低下させている現在、大胆な構造改革が求められるのは、当然の事である。「保守」では、「失われた30年」は「失ってしまって取り返しのつかない40年」になってしまう。日本がどの道を選ぶことになるのか。次の総選挙は、重要な意味を持つ。
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