6月30日に、中央教育審議会の専門部会で、2030年度から実施される次期学習指導要領からの小学校の「算数」を中学・高校と同じ「数学」に教科名を統一するという案の見送りを決めた。
同日の専門部会では「小・中・高で(数学に)統一することが望ましい」と示したが、学校現場や算数教育関係者の間でも意見の隔たりが大きいとして、実際に統一するかどうかは「引き続きの検討課題」としたという。
専門部会では、苦手意識を持つ子どもたちを少なくする狙いから小中高の内容に一貫性をもたせ、教科名も数学に統一する案が浮上していたのだが、見送られたという事のようだ。
正直言うと、中教審で何を議論しているのだと思う。算数・数学を巡っては、中学校から抽象度が高くなる学習についていけなくなる生徒が増えるなどの課題が指摘されていると記事にも掲載されている。このことが重要な問題であり、どのように指導、解決していくのかという事が問われており、名称を統一したからと言って、「具体から抽象の理解」という問題は解決しない。
小学校の算数と中学校から始まる数学の最も大きな違いは、「具体と結びついた抽象」と「抽象化された事象での理論の展開」だ。例えば、「1+1=2」はリンゴや鉛筆などの具体の物と結びついている。しかし、中学校で学ぶ「x+x=2x」は、具体の事象とは結びつかず、「1+1=2」をさらに抽象化した議論となる。高校で学ぶベクトルについても、物理で学ぶ力学では、具体と結びついているが、数学では抽象化されたベクトルの議論が展開されるのだ。
だとすれば、小学校段階から、この「具体から抽象」という思考訓練を発達段階に応じて行うことが必要という事になる。特に、小学校5・6年生と中学校1年生の接続という事が課題になるだろう。このような点を中教審の専門部会でどんな議論がなされたのだろうか。興味津々だ。

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