部活バス安全確保待ったなし

,

 5月10日の読売新聞の3面の「スキャナー」に「部活バス 安全性課題」というタイトルで、1ページを使った記事が掲載されていた。10日のブログに書いたように、レンタカーの手配について、高校側と会社側の食い違いを詳しく記述している。この問題も大きな問題だが、もっと掘り下げなければならないのは、部活の遠征中の事故が過去にも相次いで発生しているという点だ。

 記事には、私立富山第一高校サッカー部監督の加納監督のコメントが掲載されていた。富山県から宮崎県まで移動したことがあるという。このような長距離移動の場合、バス会社はどうするのだろう。運行計画を立て、休憩時間を確保し、場合によっては運転を交代するのではないかと、素人ながら思ってしまう。
加納監督は、
「試合会場では審判も務め、常に万全の体調とも限らない」
「命を預かる立場で精神的な負担は重い」
と述べている。当然だろう。生徒を乗せて自分が運転するなど、私は絶対にやりたくない。幸いにも長い教員生活の中でそのような事態にならなかったことが幸いだ。

 それにしても、記事にあるように過去にも部活の遠征事故は頻発している。
2009年7月 大分県私立柳ヶ瀬高校野球部 教員が運転 部員一人が死亡、37人が重軽傷
2011年7月 大分県立森高校野球部 保護者運転 監督死亡 部員56人重軽傷
2014年2月 青森県立弘前実業高校 サッカー部 部員5人が重軽傷
2016年10月 石川県珠洲市立緑丘中学校 野球部 部員2人死亡 13人重軽傷
2024年12月 群馬県立伊勢崎商業高校 サッカー部 生徒4人を含む6人が重軽傷
がまとめ記事として掲載されていた。

 これほど事故が頻発しているにも関わらず、国の教育行政が動こうとしないのはなぜか。それは、部活動が課外活動として位置づけられ、自主的な活動となっているためだ。言ってみれば、教育行政の管轄外ということだ。しかし、学校現場の実態からすれば、中学校・高校では、教育活動の中で部活動の占める割合は小さくない。昨今の教員の働き方改革の中でも部活動の地域展開が言われるほどであり、教員の働き方改革の本丸とまでは言わないが、二の丸、三の丸の位置だ。

 なぜ顧問や保護者が運転するような遠征が行われるのだろうか。それは、地域事情にもよるだろう。しかし、今回の磐越事故は新潟県から福島県まで遠征するというものだった。偏った見方かもしれないが、このような遠征を行う学校は、スポーツ強豪校に多いように思う。より強い相手を求め、練習試合を行うために他の都道府県を視野に入れて遠征をするのだ。その裏には、「勝利至上主義」の匂いを感じてしまう。また、私立高校の中で、スポーツ強豪校を「ウリ」にしている学校も多い。記事に登場した加納監督も富山県の私立高校の監督である。

 部活動や教員の働き方改革に詳しい名古屋大学大学院の内田教授は、次のように指摘している。
「リスクを伴う遠征はどこまで必要なのか。『年3回』と回数を決めてバス会社に託すなど安全安心を最優先に対策を見直す必要がある。部活動は『自主的な活動』で、現場任せの状態。安全対策とあわせて部活動のあり方も考えるべきだ」

全くその通りだろう。加納監督が言われるように、教員が運転して現地に向かい、現地で試合を行い、生徒を指導し、そして運転して帰るという引率は過酷すぎる。まさに今回の事故は「ひとごとではない」のだ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP