大阪市の公立中学校で、万博への遠足を前に生徒に対しておよそ2時間に及ぶ“集団行動”訓練が行われていた。整列、着席、あいさつといった動作が完璧にそろうまで繰り返されたらしい。一体、誰がこんなことを行えと指示したのか、話題になっている。
万博協会は否定しているし、当該の公立中学校の校長も否定している。一人の教員が行ったというところが落ち着くところのようだ。なんとなく、この結論に私は納得している。というのも、私は同じような場面を目にしたことがあるからだ。おそらく修学旅行生だと思われる中学生が、一糸乱れぬ行進(まさに行進だった)で歩いてきたのだ。視線は前を向き、きょろきょろもしていない。ひたすら前のクラスメートを見つめている。私語も一切ない。ひたすら目的地に向かって行軍している軍隊のような雰囲気だ。そして、最後に登場したのが、ベテラン風の女性教師だった。この教師も目を吊り上げて、「遅れるな!前を見ろ!」と大きな声をあげている。そこだけが異様な雰囲気で、周囲の人もよけて歩くほどだった。「中学校の修学旅行ってこんな感じ?」「全然楽しそうじゃない」というのが、率直な感想だ。何度も高校の修学旅行を引率した私からすると、違和感満載の風景だった。だから、このニュースも「さもありなん」と思ってしまうのだ。
そして、このような指導をする先生に対して、「それはおかしいのでは?」と言える雰囲気が乏しいのも学校という組織の弱点である。おそらく、万博への遠足に向けたこのような集団行動を行った先生も、一人の強烈なキャラの先生が行い、それに疑問を持ちつつも、何も言えない同僚教師がいたのではないか。もし学校全体で行っているとしたら、校長も「私は知らない」とは言えないだろうし、そんな学校はまさに異常だ。
朝ドラ「あんぱん」では、とうとう嵩が入隊した。軍隊の理不尽な様子が放映されると、如何に「不適切にもほどがある」かがわかる。この学校も「おかしいのではないか?」と言える教師がいたらよかったのにと思う。残念だ。
コメントを残す