教職員への誹謗中傷の法整備

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 6月6日の教育新聞のネット記事に勉強になる記事が掲載されていた。「学校や教職員への誹謗中傷 法整備を含め対策を」という題で、熊本市の教育長、遠藤 洋路氏が寄稿された記事だ。遠藤氏は、生成AI等を活用して、各国の学校や教職員に対する誹謗中傷などの不法・不当行為への対策について調べられた。

 記事によると、保護者の行動規範を策定している事例は多いという。「学校と保護者は協力関係であることを前提として、その関係を破壊するような行動を禁止したり、それに違反した場合の対応を定めたりするものである。」と記されている。

 保護者の問題行動への対応として、まずは説明や対話での解決を試みる、悪質な場合は警告、次に禁止命令、最後に訴訟などの司法手続きに移る、と段階的に行われるという。日本の場合は、最初の段階の「説明や対話での解決を試みる」という事が圧倒的に多い。警告や禁止命令に至るなどは、想像できない。

 ところが諸外国では、事情が異なるようだ。記事には、

「例えば、英国のスクールリーダー(校長、教頭など)の組合であるNAHT(National Association of Head Teachers)の調査によると、スクールリーダーの42%が、過去1年間に保護者を学校敷地内へ立ち入り禁止にしたと回答している。他の国々でも、そこまで頻繁ではないにせよ、学校敷地内への立ち入り禁止措置は実施されているようである。」
「オーストラリアで今年成立した法律は、学校内で不法行為をした保護者や訪問者に対し、関連施設の周辺25メートル以内への立ち入りや、教職員に対するあらゆる手段での連絡を、学校長が禁止できることとしている(南オーストラリア州法)。違反した場合は高額の罰金を科される。」

と記されていた。びっくりである。やはり問題行動を起こす保護者(モンスターペアレンツ)から教職員を守るというのは、世界的な共通の課題のようだ。東京都が、モンスターペアレンツに対してカスタマーハラスメントに関する条例が適応されるという見解を示したが、やはり、学校とそれ以外の組織の対応を一緒に考えるのは難しいのではないかと思う。独自のモンスターペアレンツ対応の法律整備が必要ではないかと思うのだ。

東京都の立川市小学校の乱入事件を契機に、きちんとした議論が必要だと思う。当然、乱入に関しては、刑法が適応されるが、問題は母親との対応だ。いじめに関する相談過程で、学校との話し合いがつかず、知人男性に依頼したというが、詳細が一切わからない。
★いじめの相談内容は何だったのか。保護者は何を要求したのか
★それに対して学校はどのように対応したのか
★何が保護者と学校の間で折り合いがつかなかったのか
★保護者は知人に何を求めたのか
この事件を詳細に分析し、それを活かして、保護者の問題行動に対する法整備が必要ではないかと思うが、機運は一向に盛り上がらない。世間は、「コメ問題」一色だ。


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