東洋経済の「Education×ICT」の「教員のリアル」に、私も知らなかった問題を取り上げた記事が掲載されていた。総文祭、全国高等学校総合文化祭の問題だ。総文祭は、「文化系部活動のインターハイ」と称される大会で、毎年持ち回りでどこかの都道府県で開催されている。開催されていることは知っていたが、その準備にあたる先生の仕事量については、全くと言っていいくらい知らなかった。
今回、記事に掲載されていた先生は、開催5年前から準備に関わった先生である。記事には、次にように掲載されていた。
「以前から噂で、『総文祭の開催都道府県で文化部の顧問をしている教員は、準備に駆り出される』と聞いていました。多少は覚悟していましたが、いざふたを開けると想像をはるかに超える大変さだったのです。開催までの5年間、準備業務による時間外労働は年間900時間オーバーでした。体力的にも夜遅く残るのは厳しかったので、朝早く出勤するスタイルでしたが、ピーク時は朝3時に学校に来ていたこともあります」
そして、開催が近づくにつれて、仕事がどんどん増え、勤務校ではとうとう授業を持たなくなったのだ。「何をしているかわからない」と思うようになったこの先生は、突然涙が流れてきたりすることもあり、家族にも「おかしいから、受診して」と言われた。そして、受診すると、うつ病・適応障害と診断されたのである。
この記事で明らかになったのは、総文祭の開催には、県の職員も関わるが、現場の教員に丸投げであるという事だ。実際、部活動の事なので、現場の教員の方がよく理解していることは否めないが、昭和52年から開催されていて、文化庁などが主催であるにもかかわらず、ほとんどが現場教員のボランティアであるという事だ。そして、手当は一切出ない。
さらに、私立高校教員と公立高校教員の違いである。この先生は、次のように述回している。
「腹立たしいのは、都道府県の職員に『私立高校の教員は、総文祭準備から外してください』と言われたことです。公立高校の教員と違って、私立高校の教員には労働基準法が適用されるので、残業代の問題があるからだそうです。つまり、公立教員には、法律的にグレーだとわかっていながら働かせているのです。この指示に従うことで、自分まで『教員の働き方改革』の否定に加担しているようで、本当に嫌でした」
この先生が言うように、私立学校の教員は労基法で守られている。しかし、公立学校の教員は、労基法は適応されず、「定額働き放題」の給特法なのだ。こういうところにも、この給特法の問題が、大きな影響を与えているのだ。
なぜ、これほど教員は「やりがい搾取」をされるのだろうか?やはり給特法の問題、労基法が適用されていないことは、非常に大きな問題だ。
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