1月20日、トランプ氏が大統領に就任した。就任演説を読んでみたが、これほどレベルの低い就任演説も珍しいのではないかと思う。とにかく、自画自賛だ。
I was saved by God to make America great again
とは、何様のつもりかと思う。通常、アメリカ大統領の就任演説は、自由と民主主義のリーダーとしてのアメリカを彷彿させる格調高い内容である。しかし、トランプ氏の演説には、そんな内容は微塵もない。自分が、大統領に返り咲いて、アメリカは良くなるんだの一点張りである。そして、バイデン政権の全否定と遺恨である。とにかく、前回の選挙で負けたバイデン大統領を全否定して、恨みつらみを晴らしたいという思いなのだろう。底の浅い奴としか思えない。
大統領令の連発も弱さの表れだろう。力のある大統領は、議会と良好な関係を築き、自らの政策を実現しようとする。それが政治力だ。議会で大統領の反対派が多数を占めたり、政権が末期を迎えレイムダック状態になった状況で大統領令を発出するのが通常だ。初日から大統領令を乱発するのは、「自分は力のある大統領だ」と国民に見せつけたいのだろう。そして、トランプ支持派にとってもうっぷん晴らしに他ならない。大統領が発出する大統領令は、議会の承認を必要としない法令と同じ強い権限がある。しかし、それを執行する予算については、議会の承認が必要だ。大統領・下院・上院のすべてを押さえた共和党は、「トリプル・レッド」と称されるが、言われる程政権基盤は盤石ではない。下院では共和党と民主党の差はわずか2議席であるし、上院の議員期間は6年である。あと4年の大統領とは、任期が違う。上院での予算審議で、トランプ氏の要求した案が通らなかったのは、象徴的な出来事だ。
メキシコ湾をアメリカ湾に名称を変えることにどれだけの意味合いがあるのか。まさに共和党支持者の鬱憤に応えるためだろう。そして、その大統領令に痛快さを覚える共和党支持の白人男性労働者のレベルのなんと低いことよ!テレビの画面には、星条旗を振り回したり、国旗のワッペンを服に付けた共和党支持者が映るが、よく考えてみてほしい。星条旗を日の丸に変えて、同じことをしている日本人を想像すれば、まさにそれは右翼団体、右翼の集会にほかならず、常識ある日本人からすれば違和感しか存在しないだろう。
確かに、トランプ氏は何を言い出すかわからない。早速、北朝鮮を「核保有国」と言ってしまった。要するにバカなのだ。聖書に手を置きながら宣誓することも、おそらく失念していたのだろう。これからの4年間、「老害大統領トランプ」のために世界が振り回されると思うとうんざりする。
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