本日の司会は、オードリー若林!


 12月17日にNHKで「本日の司会は、オードリー若林!」が放映された。番組の途中から見始め、最初は何となく見ていたが、引き込まれていった。そこで、NHK+で最初から見てみた。番組の主旨は、オードリー若林が司会をして、会議を回すというものだ。簡単に思えるが、その会議がなかなか難物なのだ。今回用意された会議は、二つ。三浦市の商工会議所で、「マグロの血合いについての新しいネーミングの選考会」と「老舗の化粧品会社のリブランディング」である。

 最初は「血合い」のネーミング会議。2000を超える応募からすでに10のネーミングに絞られている。選考委員は、マグロを扱う様々な関係者であったり、三浦市の観光に関わる人たちだ。最初に、若林は「温まっていませんね!」と笑いを取る。これは、バラエティ番組の手法らしい。ほとんど放送はされないが、本番に入る5分ほど前に「場を温める」らしい。いわゆるアイスブレイクだ。この若林の一言で、かたい雰囲気は和んだ。そこで、若林は、一人一人の「推しのネーミング」についてあげてもらう。そうすると、10人の誰もが挙げなかったネーミングが2つ、3つある。全員に対してこの候補を外すことに了承を取る。ここまでは、順当なやり方だ。残った候補から3つに絞り込むところが、ポイントだ。まずは、一人しか推していない候補について説明してもらう。そうすると、一通りみんなの意見を聞いて、さほど自分の意見が指示されていないことから、推しを取り下げていく。
 最後に残ったのが、4つ。大体ネーミングが3語や4語なのに対して、5語の「オイシラズ」が残った。このネーミングは、血合いの抗酸化効果からつけられた意味合いがある名前だ。しかし、マグロを扱う関係者からすると、5語は長いという意見を引き出し、「オイシラズ」は却下。ここで、若林が偉いと思ったのは、すぐにこの「オイシラズ」を推した人へのフォローを入れたことだ。「残念ですね」の一言ではなく、「自分の中でも『オイシラズ』、使っていこうと思います」という笑いを取りながらフォローを入れるなどは、さすが芸人だと思った。

 さて、自分ならどうするか?一番簡単なのは、投票である。番組でも最後に3つのネーミングから投票をしているが、私は最初から投票で決めるだろう。オリンピック方式で、投票の少ないものから消していくのだ。クラスの文化祭の出し物などを決めるときなどによく使った手だ。みんなで決めたという公平性が担保されるのだが、しこりも残る。若林は、そのしこりが残らないように、うまく場の納得感を得ていた。選考委員は、全員笑顔で最終の決定まで至ったと思う。

 会議終了後に、若林のリフレクションがある。若林が言及したのは、「社会はすぐに冷えますね」ということだ。芸人のバラエティなら、最初の5分で「温める」ことをすれば、番組は成立するらしい。ところが、今回の会議では、温めたはずがすぐに冷めたという感覚を若林は持ったようだ。だから、合間合間で「温めながら」の司会進行になったという。若林の進行で、学ぶべき点は、やはり場の温めと参加者の納得感ではないかと思う。

長くなったので、後半化粧品会社の司会は、次回にしたい。こちらの方が、ハードルが高い。


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