揺れ動く国際情勢


 師走に国際情勢が揺れ動いている。前日に韓国の非常戒厳を巡る動きを書いたが、揺れ動いているのは韓国ばかりではない。少し、列挙してみよう。

フランスでは少数与党内閣に対して不信任が可決し、内閣が崩壊した。
ドイツでは、政党間の対立で連立内閣が瓦解し、2月に選挙に突入することになる。
ルーマニアの大統領選では、ロシアの介入の疑いがあり、大統領選の無効を裁判所が決定した。全く無名のロシアに近い人物がSNSの拡散で本命の候補の支持を大きく上回ったのだ。
中国では、習近平氏の政権崩壊が始まっている。習近平氏の子飼いの軍関係のトップが更迭されたのだ。解放軍の機関紙では公然と習近平への批判が掲載された。これには、首相である李強氏の習近平からの離反があるらしい。中国経済が悪化していることに関して、李強氏が独自路線を取り始めたのだ。
そして、シリアのアサド政権の崩壊である。「アラブの春」が吹き荒れたことにより、中東の多くの国で民主化とその後の混迷が起こった。この流れがシリアにも波及しアサド政権は倒壊すると思っていたが、なんと13年間にも及ぶ内戦に突入したのだ。この点については、少し言及したい。

 元々、アサド政権のバックにロシアがついていた。ロシアがアサド政権を支援したため内戦に突入したのだ。一方、反政府側には、トルコが支援する勢力とアメリカが支援する勢力があった。また、世界最大の国を持たない民族クルド人の勢力もあり、なかなか単純な構図ではない。ところが、今回アサド政権をわずか10日程度で崩壊に追い詰めたのは、アルカイダ系のテロ組織に認定されている勢力だ。なぜ、この勢力がこれほど勢いを持つことになったのか。専門家の知見を得たいと思うが、昨日の段階ではここまで言及しているコメントに出会わなかった。今後は、政権が平和裏に移行されるのかどうか、移行された政権が国際的に承認されるのかどうか、ロシアの軍事基地はどうなるのか、そして、何よりも反政府勢力が一枚岩になることができるのかという点である。反政府勢力にとっては、アサド政権という共通の敵があるときは、共同歩調をとることができても、いざ目標を達成した時は互いにヘゲモニーの争奪が起こるというのが常である。その結果、また内戦が勃発するのだ。今後、シリアの情勢からは目が離せない。新たな中東の火種なのである。

 2024年も終わろうとしているこの時、世界の情勢は益々流動化している。アメリカトランプ大統領の1月就任後は、益々その影響が大きくなるだろう。まさに「一寸先は闇」の状態である。


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