土曜日の朝、9時半から放送している「正義のミカタ」をいつも録画している。時事問題を専門家が易しく解説するテレビ番組で、最初はバラエティ要素も濃かったが、徐々に専門性が増している。5月11日も、北朝鮮問題、ウクライナ紛争、移民政策とかなりハードな問題が取り上げられている。レギュラー出演の京都大学大学院の藤井先生、そして元財務官僚の高橋洋一先生は、明らかに反岸田で、親安倍だ。政策的にも積極財政推進派で、反財務省である。藤井先生の国家論・政策論、高橋先生の経済政策には、いつも納得させられる。今回もウクライナ戦争では、ロシアの研究者である小泉氏が「東部戦線異常あり」として、ウクライナの防衛ラインがロシア軍に破られる可能性を示唆している。なかなか、シビアだ。この番組、全国放送にすると、かなり影響力があるのではないかと思う。他のキー局では聞くことができない解説をしている。
さて、移民政策である。日本は表向きは移民を受け入れていない。しかし、実質200万人という外国人労働者が働いている。この問題について、二人の先生、青山先生、高橋先生がコメントした。青山先生は、「現在の制度は、転職も認めず、低賃金で『現代版奴隷制度』とまで言われる制度。今回の育成制度で、制度は一歩前進した。ところが、円安問題、最低賃金が欧米の半分であることを考えると、日本が外国人に選ばれる国になるかが問題だ」と指摘している。今回の育成制度への方針転換は、実質移民を認める方向に舵を切っている。このことを受けて、高橋先生は、「移民をたくさん受け入れている国は、経済の成長が伸びていると思われるが、実はその逆である。低賃金労働者の存在で、賃金全体が下がり、一部の企業だけが儲けることになる」と指摘。資本主義の根本理念からすれば、確かにそうだ。資本は安価な労働力で高い利潤を儲けることを本質とするからだ。
一方、日本は労働生産人口が、減少の一途をたどる。外国人労働者の力を借りなければ、どうにもならないのではないかと思う。私がよく読んでいるエマニュエル・トッド氏も「日本はもっと移民を受け入れるべきだろう」と主張している。ただし、「日本文化のコントロール下に置くことが大事で、ドイツのように大量の移民を受け入れることは、失敗だ」と指摘している。今、日本に来ている外国人労働者は、日本で働きたくて来ている人がほとんどだ。欧州のように、難民として大量に外国人が流入したわけではない。欧州の失敗は、キャパシティを超えた移民を受けいれたことによるものだ。まだ、日本ではこのような現象は起こっていない。
外国人労働者に選ばれる国になりながら、その一方で、流入する外国人労働者をコントロールする、日本の社会のコントロール下に置く。中々至難の業だ。
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