国民的な議論が必要だ

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 昨日、4月27日の夜のNHKニュースを見ていると、教育実習というテーマで報道がされていた。教育実習を終えた学生に関する意識調査である。その中で、明らかになったのは、
①「やりがいを感じた」約80%
②「教員になりたくないと思うようになった」40%強
という実態だ。さらに、「教員になりたくないと思うようになった」と回答した教員のうち、7割が「やりがいを感じた」というのである。教員という仕事に魅力とやりがいを感じながらも、不安を感じている実態がうきぼりになった。
 何に不安を感じているかというと、労働環境と保護者対応である。教育実習に行って、現場の教員たちの長時間労働や保護者対応の難しさを目の当たりにして、「本当に自分はやっていけるのだろうか」と不安を感じたのだろう。

 そこで、今回の中教審特別部会の素案と教員採用試験の前倒し通知についてである。明らかに、4%を10%に引き上げても、採用試験を前倒ししても、教員を志望したが、「なりたくないと思うようになった」学生の問題解決にはなっていない。教員になる気はあるのだ。だが不安なのだ。長時間労働に耐えられるか、保護者対応に精神をやられないかと。唯一、効果があるかもしれないというのは、主任教諭の導入かもしれないが、先行実施した東京都では、離職率が増加し、若手教員の育成の決め手とはなっていない。教員の競争倍率も年々低下し、3倍を切ると質を確保できないと言われており、危険水域になっている。
 今後、中教審での議論を受けて、教員の働き方改革が議論されるであろう。本当に中教審の素案で教員の働き方改革が実現し、そして質の高い教員が確保できるのか、国民レベルの本格的な議論が必要ではないかと思う。義務教育をはじめ、公教育は全ての国民に関係することである。わが子に十分な教育を受けさせることができるのか、これからの日本を背負う子どもたちに十分な教育を受けさせることができるのか、国民的な議論が必要だろう。自分の生活に余裕のない教師たちが、一人一人の子どもの課題に向き合う教育ができるとは思えない。個別最適化教育は、教員の働き方改革が実現してこそ、できる教育ではないかと思う。

教育学者、教員の団体、教育行政のみなさん、本当にこの素案、文科省の政策で良いのですか!真剣に議論しないと、本当に公教育は崩壊しますよ!


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