10月1日の読売新聞解説面に「不登校 私立中高でも課題」という見出しの記事が掲載されていた。不登校問題の深刻さは増すばかりであり、2024年度の小中学校における不登校児童生徒数は、国公私立を合わせて35万3970人と過去最多を更新している。記事では、中学受験を経て私立中高一貫校に進学したものの、不登校になってしまった2人の若者が紹介されていた。2人とも進学後の授業スピードや学校生活に十分適応できなくなったことが原因だったという。

示されたデータによると、近年は私立中高における不登校数が急激に増加している。公立に比べれば絶対数は少ないかもしれないが、2020年以降の急増は無視できない実態である。問題は、私立学校における不登校への対応力だろう。私立は公立と異なり独自の教育方針で運営されている。特色が鮮明である点は長所でもあるが、不登校のような共通の教育課題に対しては、一定の統一された対応が求められる。現状では、学校ごとの対応に大きなばらつきが存在するのだ。
この問題は、通信制高校に勤務していると肌感覚でよく理解できる。当校に転入してくる生徒を見ると、公立よりも私立高校からの割合が若干多い印象を受ける。さらに特徴的なのは、転学者が、ある「特定の私立高校」に偏っている点だ。特定の学校から一度に3人、4人とまとめて転学してくるケースがあり、この9月にもある私立高校から3人の生徒を受け入れたばかりである。一方で、転学者が全く出ない私立高校も多く、対応の格差が顕著である。
記事では、神奈川県や京都府における地域の私立中高が連携した支援策が紹介されていた。こうした取り組みが広がれば、せっかく厳しい受験を乗り越えて進学した希望校を退学せずに済むケースも増えるはずだ。しかし、現状ではこうした活動は一部の地域にとどまっており、私立中高の数が全国で最も多い東京都でさえ実施の予定はないという。
高校授業料無償化の動きに伴い、私立中高を選択する生徒・保護者は急増している。これほどの公金(税金)が投入される以上、公立と同等に手厚い支援と行政による一定の関与が必要ではないかというのが筆者の持論であるが、そこには「私立学校法の壁」が厚く立ちはだかっている。しかし、不登校支援においては私立であっても公立並みの対応体制が不可欠である。
慶応義塾大学の赤林教授は、次のように指摘する。教授は政府が進める高校無償化政策に詳しく、「行政は私学の不登校への対応状況なども把握し、各校は広く情報提供をする責任がある。国は無条件の無償化を進めるだけではなく、不登校生徒への支援の充実を私立に促すような仕組みも考えるべきだ」と述べている。まさに的を射た指摘である。
私学の授業料無償化を進めるにあたっては、教育が適切に行われているかを国や都道府県が適切に把握しなければならない。いじめ、不登校、暴力事案、部活動での不祥事、教員の不法行為などの点について実態を適切に把握し、公費投入に見合う厳正なチェックと支援体制を整えることが強く求められている。

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