社会人1年で教員免許


10月22日の読売新聞26面に、「社会人1年で教員免許」という見出しで記事が掲載された。教育新聞や日本教育新聞のWeb版にもまだ掲載されていない内容だ。通常、教職課程を履修していない大卒者が、大学院で教員免許を取得するには一般的に3年程度かかると言われている。

標準的な教員免許の取得に必要な単位数は、小学校で57単位以上、中学・高校では56単位以上とされる。今回の新課程では、そのうち20単位について「社会人経験を踏まえて修得済み」とみなす仕組みだという。学ぶ内容は、教科指導や児童生徒の心身の発達に関する基礎科目が10単位、学校での授業や生徒指導などの実践演習が26単位程度になるとしている。
また、学習スケジュールとしては、4〜5月や8月の夏休みに大学院で集中的に学び、6月からは学校現場で実践を積みながら、放課後や週末に大学院の教員から指導を受けるという形をとる。

文部科学省がこのような新課程を創設した背景には、「セカンドキャリア教員」の割合の低さがある。2024年度のデータを見ると、中学段階におけるセカンドキャリア教員の割合はOECD平均の8.4%に対し、日本は0.9%にとどまっている。では、この新制度は果たして機能するのだろうか。

まず懸念されるのは、社会人が実際に教職へ向かうモチベーションを持つかどうかという点だ。民間企業等での勤務を経て「教師でもやってみようか」と考えたり、「やはり教師しかない」と思ったりする人が、この制度を利用するかもしれない。いわば高度経済成長期の「デモシカ教師」の再来を危惧する声も出かねない。

さらに現実を見れば、公立学校の教員には教職調整手当が支給される一方で、民間企業や一般的な行政職のような残業代は支給されない。民間や他の公務員とは大きな違いである。このような待遇のままで長時間労働が常態化し、保護者対応にも神経をすり減らす現場の環境を前にして、この制度を利用してまで教職を目指そうという人がどれほどいるだろうか。もし自分が社会人であれば、よほどの事情がない限り教職を選ぶことはないだろう。

現在、学校現場は深刻な教員不足と過重労働、さらには教採倍率の低下に苦しんでいる。これらが負のスパイラルとなり、改善の糸口が見いだしづらくなっているのだ。こうした状況にテコ入れするためには、教育行政が学校現場にしっかりと人材を呼び込めるよう、教職員定数の見直しや適切な人材配置など、抜本的な環境改善を行わなければならない。


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