10月18日のNHKスペシャルで、若者のオーバードーズ(以下OD)問題が取り上げられた。かなり熱の入ったプログラムであり、若者のOD問題の深刻さと、その解決の困難さが浮き彫りになる内容だった。
番組の冒頭では、福岡の16歳の高校生が登場していた。野球の特待生として高校に進学したものの、「小中からの知り合いは誰もおらず、一から人間関係を作るのがしんどかった」と語っていた。また、ODを繰り返して入院中の20歳の女性も登場していた。彼女は高校までは勉強もでき、生徒会活動もこなすリーダーシップのある生徒だったが、ある時期から陰口を叩かれるようになり、学校から足が遠のいてODに走ったという。死のうと思ってビルの屋上に行こうとして意識を失い、そのまま病院へ搬送されて入院に至ったとのことだった。
こうした事例に触れると、複雑な思いを抱かざるを得ない。誤解を恐れずに言えば、現代の若者の環境適応力や、ストレスに対する「打たれ強さ」が低下しているのではないかと感じてしまう。福岡の高校生の場合、進学すれば知り合いがいないことは予測できたはずであり、自ら選んだ道であるならば、進学後の状況をもう少しイメージできなかったのかという疑問が残る。20歳の女性の場合も同様で、人間関係の摩擦や陰口は社会の至る所にある。それを過剰に気にしてしまう背景には、人間関係の耐性が弱くなっている現実があるのではないか。
番組では、製薬関係者も登場していた。ODで乱用される風邪薬や咳止め薬を、市販薬から処方箋が必要な薬に変更する案について、「98%の人が正常に薬を摂取している中で、一部のOD者のために処方箋へ切り替えるのは現実的ではない。風邪薬を買うためにわざわざ病院に行かなければならなくなるからだ」という趣旨の発言をしていた。これは大半の生活者にとって、もっともな意見である。
一方で、フランスの例も紹介されていた。フランスでは若者の自死を契機に、市販薬から処方箋への切り替えに踏み切ったという。議論の潮目が変わったのは、製薬関係者が「自分も一人の親である」という当事者意識を持ったときだったとのことだ。これも解決策の一つではあるが、導入には多くの国民の理解と合意が不可欠だろう。
番組全体として、明確な解決策や「妙案」は示されなかった。しかし、ODの本質が薬物依存であるならば、救急搬送された場合や保護者の意向がある場合には、何らかの強制力を持った依存症治療やリカバリー施設への収容が必要ではないか。本人の意向だけに委ねていては、根本的な解決にはつながらないように思える。
大半の市民が受ける利便性(市販薬の入手しやすさ)と、ODに陥る若者の命を守る規制や介入。この二つをいかに両立させるか、社会全体での重い議論が求められている。

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