熊本市教育委員会は10月16日、児童への複数の不適切な指導があったとして元教諭の男性を2022年に懲戒免職とした処分について、市人事委員会が先月、停職2カ月に修正する裁決をしたことに対し、同人事委員会に再審請求すると発表した。もともと元教諭が懲戒免職処分を受けたのは、小学6年時に担任した児童が2019年(当時中学1年)に自殺したことが発端である。市の詳細調査委員会は2022年、男性の当時の不適切な指導が抑うつ状態に影響した蓋然性が高く、自殺の一因となったとする調査結果を答申していた。
ところが、市人事委は今年9月に、市教委が問題とした43件の行為のうち37件について「事実が認定できない」などとし、処分を停職2カ月に修正する裁決を下した。これに対して、日本大学の末富芳教授も「自死した生徒の人権が軽視され、元担任の教壇復帰による更なる被害拡大も懸念されます」と懸念を表明している。同じ自治体の行政機関同士で、これほど見解が大きく食い違うのは異例の事態と言わざるを得ない。
報道などを調べても、市人事委員会が「事実認定できない」とした具体的な理由は十分に明らかになっていない。人事委側にも独自の判断基準や理由があるのだろうが、今後の再審請求の手続きを通じて、その妥当性が徹底的に議論されるべきである。それにしても、仮に処分が軽くなったことで教育現場への復帰が認められ、再び同様の事態が発生した場合、果たして人事委員会はどのような責任を取ることができるのだろうか。
教育現場の安全と児童の人権を守るためにも、人事委員会と教育委員会は、この見解の相違について徹底的に議論を尽くしてほしい。

コメントを残す