高校無償化は何をもたらすかー大阪府の「社会実験」


 高校無償化は、何をもたらすことになるのか?大阪府では、すでに高校無償化を先行実施している。初年度は、府立高校の約70校が定員割れを起こし、大阪府の教育界に衝撃をもたらした。昨日3月7日に一般入試の出願が締め切られ、入試倍率が明らかになった。一般入試で定員割れを起こしたのは、128校中64校でちょうど50%に当たる。最終的には、二次入試の結果を見なければならないが、2年続いて衝撃の結果だ。この定員割れを起こした学校で、2年連続して定員割れを起こした学校は46校、そのうち、更に倍率を下げた学校は33校存在する。実に70%を超える高校が、倍率を下げているのだ。一旦定員割れを起こしてしまうと、その回復が容易ではないことを示している。

 もう少し詳しく見てみよう
①普通科で定員割れをした学校は、75校中35校、46.7%
②実業系専門学校で定員割れをした学校は、18校中15校、83.3%
③総合学科で定員割れをした学校は、17校中11校、64.7%
になる。明らかに、普通科よりは、実業系専門学校、総合学科の方が定員割れの割合が高い。

 更に偏差値で調べてみよう。
①偏差値が49以下の学校で定員割れをしたのは、63校中50校、79.4%
②偏差値が50以上の学校で定員割れをしたのは、65校中14校、21.5%
である。圧倒的に偏差値が低い学校でより定員割れが起こっている。

これが高校無償化の「社会実験」の結果だ。来年度から全国の都市部で起こると予想される。何回も述べているが、大阪府では、「3年連続定員割れが続いたら再編対象」である。46校の学校が2年連続定員割れを起こし、そのうち33校が更に倍率を下げているのだ。これ程大量の高校を再編対象にして良いのだろうか。高校教育にゆがみが生じるように思う。

 大阪府は、府立高校の魅力化の政策として、すべての学校で海外連携を打ち出しているが、そんな施策もこの結果の前では吹き飛んでしまうだろう。大阪以外からは、「大阪府立高校の教育は古い」と映っているようだ。とにかく抜本的な改革が求められる。改革の柱は、2本。一つは、公立高校・私立高校の生徒獲得競争を同じ土俵に乗せること。そして、府立高校の「ニューノーマル」を実現することである。

早く行わなくては、大阪府からどんどん府立高校が消えていくことになる。

=資料=倍率と偏差値の関係を散布図で示し、近似直線を導入したグラフ3つ
①すべての府立学校一般入試

②普通科高校

③実業系専門学校と総合学科


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