文部科学省は東京大学に対し、総長選考をめぐる経緯の検証を求める文書を出した。国立大学の学長選考において、このような文書が発出されるのは異例だという。学長の任命権を持つ文科省として、今回の選考プロセスについて説明を求めたものだろう。
文書では、「客観的事実に基づいて、慎重かつ必要な審議を尽くし、公正・公平に行われる必要がある」「説明責任を果たすことが東大のガバナンス改革を進めていく上で重要」と指摘されている。関文科相もこれまで東大に対して説明責任を求めてきたが、これまでの説明に納得がいかなかったことが、今回の文書発出につながったと考えられる。
そもそも、今回の東大総長選出をめぐっては、学内外からさまざまな意見が飛び交っている。参考値とはいえ、学内投票でダブルスコアの大差をつけられた次点の候補者が、選考会議によって選ばれたのだから、異論が噴出するのも無理はない。丁寧な説明が求められているにもかかわらず、選考会議からは「全会一致」という結果ばかりが語られ、具体的なプロセスは見えてこない。これでは、選考の透明性に疑念を持たれても仕方がないだろう。
こうした事態を防ぐには、東大が求める「総長像」と、それに基づく「観点別の評価基準」が不可欠である。どのような基準で選考が行われるべきかといえば、例えば以下のような要素が考えられる。
〇研究者としての業績
〇組織マネジメント能力
〇大学の将来像を示すビジョン
〇学内からの信頼度(学内投票の結果もここに反映されるべきだろう)
本来であれば、これらの項目を点数化・可視化し、学校現場などで導入されている「ルーブリック評価」のような手法を用いるのが自然ではないか。こうした評価シートと記録があれば、選考会議で何をどのように議論したのか、客観的なエビデンスとして説明が可能になる。もし、そうした明確な評価基準やプロセスがないとすれば、それは大きな問題であり、「恣意的な選考である」との批判を免れないだろう。
東大には、客観的な事実に基づいた誠実な説明が求められる。今後の大学側の対応を注視していきたい。

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