OECD国際成人力調査(PIAAC)

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 日本の教育はうまくいっているのかもしれない。そう思わせるデータがある。OECDが実施する国際成人力調査-PIAACである。この調査は、参加する各国の成人(この調査では16~65歳)が持っている「成人力」について調査し,その力と社会的・経済的成果との関係などを分析する調査だ。私の職場には、「学校経営アカデミー」という雑誌が届いているが、誰も読まないので私が読んでいる。その2月号に、この調査結果が掲載されていた。元のデータは、昨年12月に国立教育研究所に掲載されている調査結果である。調査は、「読解力」,「数的思考力」,「状況の変化に応じた問題解決能力」の3つの分野について行われている。その調査結果が次の表だ。

「成人力」とは、知識をどの程度持っているかではなく、課題を見つけて考える力や、知識・情報を活用して課題を解決する力など、実社会で生活していく上での総合的な力を指す。このように考えると、このPIAACの結果は、日本の教育が「生きる力」を育んでいると思える。

 ただ、自分が感じるこの違和感は何なんだろう。日本の教育がこんなに成果を出しているのなら、この日本の閉塞感はどこから来るのかと思ってしまう。本当に、PIAACは、「生きる力」を計れているのだろうか。
 私が21世紀の教育で重視したいのは、「WellbeingをめざすAgencyの育成」である。AgencyもWellbeingも該当する日本語が見当たらないので、和訳するのは大変難しい。ということは、日本の社会の中で、根づいていない新しい概念なのではないかと思う。この概念がOECD2030Educationで提起された中心的な概念なのだ。特に、Agencyについては、日本人には育まれているようには見えない。現状を変更しようとする流れが見えてこないのだ。これだけ、物価が高騰し、高い税金を取られ、先行きが見えない状況なら、海外ならゼネストが起こるか、暴動が勃発するだろう。「我慢強い」こともここまでくると美徳とは言えない。

 果たして、PIAACの結果は、日本の教育の現状を正しく表しているのだろうか。


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