NATOの首脳会議に注目したい!


 7月11日、バルト三国の一つのリトアニアでNATOの首脳会議が開催される。懸念することも含めて、岸田首相も出席することもあり、注目していきたいと思う。注目している点は以下の通りである。
 1点目。やはりウクライナへの支援である。軍事的支援について、長期戦を見据えてどこまで合意がなされるのかということは注目しなければならない。さらに、ウクライナの要請を受け、バイデン大統領がクラスター爆弾の供与を決めたが、これについてはNATOの結束を揺るがすかもしれず、さっそくスナク首相は、イギリスの立場を表明し、バイデン政権とは違う姿勢を示した。これがNATO及び西側諸国の不協和音、そして露の軍事的エスカレートを招くことを懸念する。バイデン政権も、クラスター爆弾の供与を優先するのではなく、ウクライナが以前から求める武器供与をスピード感も持って行うことの方が重要だろう。2点目は、ウクライナのNATO加盟の問題である。これはノルウェーやスウェーデンの加盟よりはスムーズにいくだろうが、戦争がどのように終結するかによって、NATO内でプーチン寄りのハンガリーが気がかりだ。
 3点目。NATOの日本事務所の開設問題。岸田首相が首脳会議に参加するのも、インド太平洋地域の安定にNATOが関与することを期待してのことだと思う。確かに、ロシアという国は、東は日本・アメリカに、西は欧州に接しているので、この論理も成り立たないわけではない。しかし、マクロン大統領のように中国に近づきたい国からすると、そう簡単な話ではない。さらに、当たり前のことだが、NATOは1つの国が攻め込まれたら、自国が攻め込まれたと考え、軍事行動を起こすという集団安保体制なのである。日本に、その覚悟があるのかと言いたい。NATOの一つの国が、攻め込まれたときに、日本は北方領土や樺太、ウラジオストックを攻める覚悟を持っているのかということだ。現状は、全くその覚悟が、政府も国民も無い。それで、NATOにインド・太平洋地域にも関心を持ってもらおうというのは、虫が良すぎるのではないか。
 中露の軍事的圧力に抗したいのならば、東南アジアを中心にNATOのような集団安保体制を確立すべきだろう。太平洋条約機構(Pacific Ocean Treaty Organization)(仮)(POTOでも言おうか)の結成に向けて、まずは汗をかくことだろう。だが、自民党の武器輸出の検討に対しても、8割以上が反対を示す日本国民の感情からは、POTO(仮)の結成など程遠いだろうと思う。ウクライナがクリミア半島を失って覚醒したように、台湾有事で日本の領土に危機が訪れない限り、日本人の「平和ボケ」は治らないと思われる。
 とにかく、岸田首相も参加するこの首脳会議、今後のウクライナ戦争にも大きな影響を与える可能性が高いので、注目していきたい。


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