高校「教員コース」…教育ルネサンス

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 11月28日の読売新聞の教育ルネサンスの欄に、[先生]特集が掲載された。今日は、その第1回である。高校に「教員コース」を設置している学校の紹介だ。千葉県立我孫子高校での実践が紹介されていた。教員をめざすために高校生の時から気持ちを固めてくれるのは、同業の者としては大変ありがたい。教える喜び、育てる喜びを経験し、使命感に燃えて現場に立ってほしいと思う。心から応援したい。

 ところがである。そのそばの記事に今の学校現場の問題を指摘する記事が掲載されていた。一つは、我孫子高校の同コースの卒業生の「凱旋講義」である。その中で、やりがいを述べつつも、「出勤は7時前。帰りは夜8時になることも。」と書かれている。13時間勤務である。もう一つは、「現場見て『志望』揺らぐ」という記事である。「22年春に国立大学の教員養成課程を卒業した約1万1000人のうち、教員として就職したのは6割」だというのである。びっくりだ。横浜国大で免許を取ったにも関わらず、教員以外の道に進んだ4年生53人に聞いたところ、

「教員の職責をみて、とても自分に責任を担いきれる仕事ではないと思った」
「学校の多忙さを目の当たりにした」
「ワーク・ライフ・バランスを考え、民間企業を選んだ」

という意見が出た。教育実習で現場を見て「教員は無理!」と判断したのだろう。私が以前勤めた国立大学教員養成系の附属学校でも、「実習生を定時に帰すように」と大学からの指示があった。「何を言っているのだ!」と思った。教師になるためにその大学に入学したのに、現場の実態を知らずに現場に行って、「こんな長時間なのか!」と挫折するより、選択肢のある段階でしっかりと判断材料を提示すべきと思っていた。その結果、教師を選ばないのもその学生の人生選択なのだから。大学教員の浅はかな考えだと今さらながら思う。教員試験の受験率が低下していたので、受験率を挙げたいための対策だというのである。考えが浅すぎる。もっと大学教員は賢いと思っていたが、意外にマネジメント能力がない。
 とにかく、教員志望を増やすためには、「やりがい」を育てるだけではもう限界なのだ。「ワーク・ライフ・バランスを考え、民間企業を選んだ」という学生の選択は全く正しい。各都道府県の教員採用の担当者は、民間企業がどのような言葉を並べて求人募集をしているのか知っているのかと思う。どれだけ、働く環境が整っているのかということなのだ。もう、「やりがい搾取」はやめるべきだと思う。このままでは学校は破綻する。給特法を改正して、労働基準法を適用すべきだ。


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