読書推進月間④-やはりデジタルは教科書には向かない

,

 全国図書館協議会の調査で、「紙媒体」と「電子媒体」の比較調査を行っている。比較した項目は、
ア)内容を理解しやすい
イ)情報量が豊富
ウ)文字を目で追いやすい
エ)読み返しやすい
オ)物語や小説が読みやすい
カ)マンガが読みやすい
キ)図鑑や辞典・事典が読みやすい
の7つの項目である。この項目に対して、「紙媒体」「電子媒体」「どちらでもない」という3択で回答する。その結果が次のグラフである。

小学生・中学生・高校生共に同じような傾向の回答である。
1)「内容が理解しやすい」は、紙媒体も電子媒体も変わらない。電子媒体は様々な工夫がなされ、内容が理解しやすいと思われるがそうではない。
2)「情報量が豊富」は電子媒体に軍配が上がると予想していたが、これも多数派は「どちらでもない」。唯一小学生だけが電子媒体がトップである。高校生・中学生は、電子媒体に情報の抱負さを感じていない。
3)「文字を目で追いやすい」は小中高ともに紙媒体が電子媒体をわずかに上回った。
4)「読み返しやすい」「物語や小説を読みやすい」は、紙媒体がかなり電子媒体を上回っている。
5)「マンガが読みやすい」は圧倒的に電子媒体が上回った。
6)「図鑑や辞典・事典が読みやすい」は、ビジュアルを追求できる電子媒体が有利と思いきや、これも紙媒体が上回った。
 この結果を見ると、電子媒体が紙媒体より優位なのは、「マンガ」のみである。学校の教科書にデジタル教科書の導入が一時期推進された。私の前の職場である附属中学校でも大学からデジタル教科書の導入が推進された。しかし、私は当初からデジタル教科書に懐疑的だった。その理由は、AI研究の第一人者で有名な新井紀子氏が、デジタル教科書に疑問を呈したからだ。氏は、デジタル教科書が読解力に寄与しないと結論付けた。今回の調査結果でも、教科書としての機能が求められる
ウ)文字を目で追いやすい
エ)読み返しやすい
オ)物語や小説が読みやすい
では、紙媒体が優位なのである。

今回の調査は、デジタル教科書についての調査ではなかったが、図らずも「デジタル教科書は教科書に不向き」という結論を出してしまったようだ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP