競争入札は当たり前と思っていたが・・・


 10月23日に、公正取引委員会が、学校の制服について「入札やコンペ方式を導入している学校の制服価格は、そうでない学校より2200円安かった」と報告した。記事は、一番下に掲載する。大阪府でずっと仕事していたので、制服にしろ、修学旅行の業者にしろ、いろいろな設備・備品の購入にしろ、競争入札で行うのは当たり前だと思っていた。特に大阪維新の府政になってからは、厳格に運用を求められるようになったと感じた。税金や保護者の金銭負担を考えると当たり前だと思っていた。
 ところがである。前職の附属中学校に校長として赴任した初年度、それも早い時期に制服の値上げ問題が持ち上がった。今まで、納入していた業者が、原料の高騰を理由に値上げすることを提案してきた。そこで、私は担当者に制服業者への競争入札を行うことを指示した。私にとっては、当たり前のことであるのだが、どうも地方都市ではそうでないということが分かった。経緯は以下のとおりである。
 いくつかの業者に見積もりを依頼した。その結果、体操服を納入している業者が、現行の値段よりも安く作製できることがわかり、体操服と制服の納入が同じ業者になった。この業者がネット販売を提案してきた。地元の取扱店が便利と思う保護者もおられれば、この時代ネットでの購入を便利と思う保護者もおられると思い、両方の取り扱いでお願いした。競争入札での安価な値段での制服の提供もネット購入についても、保護者目線でどうかという判断である。
 ところが、ある日、地元の取扱店が校長室に乗り込んできた。「私たちを排除するのか!」という抗議だった。そんなつもりは一切なく、前述したような趣旨を説明した。かなりの剣幕で乗り込んでこられたので、「一体、地元業者を排除するということを誰に聞かれたのですか?私は保護者目線でネット購入も導入するということを決めましたけど、地元業者を通さないなんて一切言ってませんよ。誰がそんなことを言ったのですか!」と強めに言いました。そうすると、業者は「それは勘弁してください」と言うので、「私が言っていないことを真に受けてこのような行動をとられることは、承服しかねる。誰が言ったのですか!」と再度詰め寄りました。それに対して、業者の方は平身低頭で謝られ、校長室を退室されたのです。校長をしていると、自分で言っていないことを「校長は言った」と嘘の情報を流されたり、言葉を曲解されて伝わるということが度々あります。こういうことには、きちんと説明するとともに断固として抗議するようにしていました。
 この件、大阪では当たり前のことが、地方都市ではそうではないのだと痛感させられた事件でした。制服業者-地元取扱店-学校というトライアングルに、都会の感覚でメスを入れたということになるのだと思います。記事にも

ただ、提言に従った学校は22年度に中学で36%、高校で69%にとどまっており、公取委の担当者は「取り組みを広げる『伸びしろ』はまだある。メーカー間、販売店間の競争を有効に機能させて、保護者の負担を減らす必要がある」と話している。

と記載されており、まだまだなんだと思いました。

中学高校の制服、競争働けば2200円安く 公取委が検証結果発表


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