「子ども放置禁止条例」で何を議論すべきだったのか?

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 ニュースで話題になったので詳細は避けるが、10月10日に埼玉県自民党県議団が提出した条例を取り下げた。この条例の正式名称は、「議第25号議案 埼玉県虐待禁止条例の一部を改正する条例」という。埼玉県自民党県議団のwebpageを見ると、この条例案は10月6日に提案された。この日に県議会の福祉保健医療委員会において審査され、賛成多数で本議会への提案が了承されたというのである。埼玉県議会は、自民党が多数を占めているので、10月13日の本議会で承認される可能性があったのである。この福祉保健医療委員会でいったいどんな議論がされたのであろうか。興味があったので、埼玉県議会の議事録を調べてみたが、直近の事なのでまだwebでは発見できなかった。これほどの問題のある条例が、どれほどの議論で本議会提案になったのか。もし、議論が不十分という状況であれば、問題は大きい。多数を占めている自民党の横暴とも言えるかもしれない。
 さて、条例の中身であるが、報道以外でこの条例の中身を見られただろうか。提案は次のリンクを見てほしい。

議第25号議案 埼玉県虐待禁止条例の一部を改正する条例

 報道された内容のような具体の事例は、記載されていない。報道された内容は、自民党議員が具体的な事例を提示したのだろう。そのことが波紋を呼んだと思われる。この条例には、一切賛同するつもりはない。しかしながら、子どもが放置されることによる事故は、毎年発生している。車での放置、マンションからの転落事故等など、悲惨な事故が発生している。本来なら、「放置」一般でひとくくりにするのではなく、このような具体的な事例について、その対処について議論すべきだろう。車での放置については「過失致死罪」が適用されているが、事例によっては果たしてそれで良いのかということも感じる。明らかにネグレクトによる放置であり、「子どもが死ぬ恐れがあること」が容易に想像できる場合もあるのではないか。
 埼玉県自民党県議団によって、実際に深刻化している子どもの放置による事故死をどうするのかという議論が遠のいてしまったことは残念である。埼玉県自民党県議団は、猛省すべきだろう。あなたたちの浅はかさによって、解決ではなく混乱になってしまったのだから。


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